May J. 音楽を通してさらけ出したダークな感情 連続配信プロジェクトで発信する誹謗中傷・父親・SNSへの本音
私自身が叩かれてきたし、癒えない傷になって残っている
ーー続いて6月には第2弾楽曲「Can’t Breathe」を配信。サウンドも歌詞も歌も、すべてにおいて衝撃的な新しさを感じさせる曲だと思います。
May J.:このプロジェクトを始動させて初めて生まれたのがこの曲だったんですよ。これを第1弾にしてたら、「May J.どうしちゃったの?」って確実に言われてた思います(笑)。
ーーSNSなどでの誹謗中傷をテーマした内容は、今の時代にこそ歌われるべきものであるような気がしますね。
May J.:この曲で描いたことは、私にとっての人生のテーマでもあるんですよ。実際、私自身がそうとう叩かれてきたし、それが癒えない傷になって残っていたりもする。だからこそ、そこにあらためて向き合って、思いを爆発させたかったんだと思います。今はもうSNSの一言を発端に事件が起きたりもしていますからね。そろそろ誰かが言ったほうがいいんじゃないかなっていう思いもあったし。
ーーボーカルRECはいかがでしたか?
May J.:全編ウィスパーなので、椅子に座って「はぁ」って力を抜いて歌いましたね。力を込めないから若干、物足りなさもあったかなぁ(笑)。でも逆に力を抜けば抜くほどいい雰囲気になることを知れたのが楽しかったですね。もちろん感情を入れないとただの独り言になっちゃうからダメなんですけど、今までの曲ほどの感情的な熱さはないと思います。基本的には“無”になる感じで歌いました(笑)。
ーー篠田さんはボーカルのディレクションもされるんですか?
May J.:そうですね。この曲で言えば、「もっと弱く! 弱く!」っていうことは言われましたね。あと「Rebellious」で言えば、「後半に向けてもっと盛り上げて。あとディスチャ(Destiny’s Child)っぽい、天の声のようなフェイクを入れてください」とか言われたり。そういうやり取りもすごく楽しいです。
ーーそして、7月14日には第3弾楽曲「DRAMA QUEEN」の配信が始まりました。
May J.:ドライブ感のあるサウンドがすごく気持ちいいですね。これまでの曲の中だったら一番聴きやすいのかもしれないです。この曲では、けっこうLow(低音)を意識した歌い方をしたんですよ。サビは高音なんだけど、Low(低音)を多めに出すことで力強さを感じてもらえたらいいなっていうイメージで。ラップっぽいパートがあるのも楽しかったですね。いろんなパターンを現場で試して、一番いいものを選んだ感じでした。
ーー現場で出たアイデアはどんどん試していくスタイルですか。
May J.:そうですね。この曲の最後に入ってるスキットはそういう流れで入れたもので。〈bullshit〉とかちょっと悪い言葉を言ってるんですけど(笑)、あんまりはっきり聴こえすぎないようにちょっとマイクから離れて言ってみたりとか、そういうのをみんなで話しながら決めていった感じでしたね。
ーー他人の悪口ばかりを言って、自分を悲劇のヒロイン(=DRAMA QUEEN)に仕立て上げるタイプの人へ物申す歌詞も痛快で。
May J.:SNSを見てても思いますよね。なんでそんな悪口書くの? って。そのエネルギーがどこから来てるのか知りたいくらい(笑)。
ーー「Can’t Breathe」とリンクするテーマでもありますよね。
May J.:そうですね。ただ、「Can’t Breathe」は自分に向けられた誹謗中傷に対して、自分の中で上手く対処しようとしている感じなんですけど、「DRAMA QUUEN」はとにかく人に向けて悪意を放っているというか。そういう人に対して何かを言うのって、SNSでは一番やっちゃいけないことだと思うんですよ。確実に炎上するので(笑)。でも今回はそれをあえて曲にしたんですよね。私のリアルな気持ちを歌詞にしてスッキリしました(笑)。書くのもめっちゃ速かったですしね。
ーーこういう感情を曲にするのってすごく難しいし、そうとうな覚悟が必要ですよね。
May J.:うん。こういうことを曲にすれば、「結局、自分も“DRAMA QUEEN”じゃん」って言われることは目に見えてますからね。でも、そこはもう開き直るというか(笑)、「うん、私もそうなんです。人間の心理はもうそういうものなんです」っていう気持ちで書いたんですよね。
ーーそれを反面教師として、聴き手の心がいい方向に動いてくれればいいわけですしね。
May J.:うん。ほんとにそう思います。
8月配信曲はBlack Lives Matterからインスパイアを受けたものに
ーーシリーズラストを飾る第4弾は8月にリリース予定です。その仕上がりに関して少しヒントをいただけますか?
May J.:歌詞のテーマに関しては、Black Lives Matterにインスパイアされたものです。日本ではあまり身近なこととして感じていない人も多いとは思うけど、BLMに限らず、何か疑問に思ったことに対して声を上げやすい環境に変わってくれたらいいなっていう願いを込めましたね。テーマは少し重いかもしれないけど、でもそれを音楽として聴きやすく届けて行きたい気持ちが今はすごくあるんですよね。それができるのが音楽の力でもあると思うし。
ーーサウンドはどんなものになっているんですか?
May J.:サウンドはね、一度固まったんですけど、ミルくんが「もっと攻めたい」って言ってくれてて。今アレンジを変えてくれている最中なんですよ。なので、配信のタイミングで一番最新の音が詰め込まれた曲になると思います。そうやってギリギリまで作業を詰めることができるのは配信の良さですね。
ーー“DarkPop”プロジェクトも含め、15周年イヤーはかなりおもしろいことになりそうですね。
May J.:はい。新しいプロジェクトにおいては、まだまだやりたいことはたくさんありますからね。Aisho Nakajimaさんのようなアーティストや、アップカミングな若手のラッパーさんとかとコラボもしてみたいですし、フェミニズムやLGBTQのようなテーマに切り込んだ曲も作ってみたいし。で、曲が増えれば当然アルバムも作りたいですしね。この流れでどんなアルバムが作れるのか、何よりも自分自身が一番聴きたいですから(笑)。とにかくワクワクしてます。
ーーこれまでのMay J.さんの歩みを感じられる活動ももちろんあるわけですよね。
May J.:それもいろいろあります。リクエストライブやオーケストラライブも決まってますし、ツアーもやりますからね。今回、まったく新しいMay J.をお届けしてますけど、もちろん今までのMay J.を完全になくすわけではないので。どっちの私も受け取ってもらって、どっちも愛してもらえたらうれしいです。
■リリース情報
4カ月連続リリース Digital Single
第1弾 「Rebellious」
https://avex.lnk.to/Rebellious
第2弾 「Can‘t Breathe」
https://avex.lnk.to/CantBreathe
第3弾 「DRAMA QUEEN」
https://avex.lnk.to/dramaqueen
第4弾は8月配信予定
May j.公式サイト
https://www.may-j.com