プロダンスリーグ『D.LEAGUE』をさらに楽しむためのポイントは? 激闘となったチャンピオンシップを振り返る

圧倒的なアティチュードと個性 vs チャレンジ精神に満ちた実験作

 ファイナルマッチとなったのはレギュラーシーズン首位だったFULLCAST RAISERZと第2位に付けていたavex ROYALBRATSの決戦。先攻のavex ROYALBRATSは、セミファイナルに引き続き真っ向から自分たちのスタイルを全開にした攻撃性の高い作品に。〈いつもゼロから始まった/私たちがクリエイター〉というリリックからも伺えるように、常に新しい道を切り拓いてきたRIEHATAとメンバーの誇り高いアティテュードで、息をもつかせぬ速さで2分間を駆け抜けた。

CHAMPIONSHIP FINAL・avex ROYALBRATS/Dai-ichi Life D.LEAGUE 20-21 CHAMPIONSHIP

 後攻のFULLCAST RAISERZは、クランプに(ダンスジャンルとしての)ストンプを融合させ、文字通り自分たちの身体から発せられる音のみでの作品で挑戦。クランプの基本の一つでもある(ダンスムーブとしての)ストンプを最大限に生かしながら、マンパワーの強さ、チームでもクルーでもなくFAM(ファム)という形を取るクランプの絆を音に託した。

CHAMPIONSHIP FINAL・FULLCAST RAISERZ/Dai-ichi Life D.LEAGUE 20-21 CHAMPIONSHIP

 会場中が固唾を呑んで見守った審査結果は、5対4でavex ROYAL BRATSが勝利。なんとわずか1票差という接戦だった。惜しくも敗北したFULLCAST RAISERZだったが、審査員のSAMは「ずっとファミリーとして時を長く過ごしてきたからこその強さ。RAISERZの男気は素晴らしかった」と、あえて難易度の高い作品に挑んだチャレンジ精神を讃えた。

 そして見事に初代王者の座に輝いたavex ROYALBRATSに対し、秋元康は「当たり前のように見えるダンスが、実はそれぞれのスキルが必要だとわかった。皆さんの汗と涙に感動した」と絶賛。レギュラーシーズンで各ラウンドごとに主役を設定し、楽曲のストーリーとともに全メンバーのキャラクターを育んだRIEHATAのディレクションは一体感と個性を見事に両立。その完璧なまでのストーリーをここに完結させた。

 ダンスのクオリティは当然に高く、毎回異なるアプローチの振り付けに挑戦し、なおかつダンサーではない一般の視聴者にも魅力を伝える。文字で表す以上に過酷な努力の結晶が、新しい「プロダンサー」の形として、夢をもってDリーガーたちの背中で語られた第1シーズン。今シーズンを経たことで、今後それぞれの戦い方はどう進化していくのか。そして新たに参入するチームがどうやってリーグを掻き回していくのか、早くも期待は高まるばかりだ。

 各種サイトにて見逃し配信も行っているので、改めて全ラウンドのストーリーを振り返るなど、審査や勝負という枠組みを外してダンスそのものから放たれる興奮を再度味わってみてほしい。

■Yacheemi
ダンサー / DJ / ライター / タコ神様。国内~ジャマイカでダンスバトルでの入賞を経験後、 ヒップホップ・グループ「餓鬼レンジャー」 にマスコットとして加入。3密のナイトクラブを中心に年間100本近くのステージに立つ傍らで、地上波TVにも幾度か出演。またR&B音楽にまつわる座学や執筆活動も行うなど、独自のフリースタイル・グルーヴ道を歩む七変化系男子。

D.LEAGUE 公式HP

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