PEDRO、ドキュメンタリーが捉えたアユニ・Dの挑戦と変化 田渕ひさ子らの発言から浮かび上がる“バンドになる過程”

「アユニさんがだんだん心を開いてくれるのが嬉しかったです。日を追うにつれて仲良くなっていく感じがして、なんか、いいなあと思いました。演奏とか曲間も呼吸が合ってくる感じがして、バンドやってるっていう感じがして」

 田渕はこう語る。もちろんPEDROはBiSHありきで始まったプロジェクトだ。そもそもはアユニ・Dのソロとして始まったものだし、新代田FEVERでのライブ1回限りで終わる可能性もあった。が、初のフルアルバム『THUMB SUCKER』と初のツアー『DOG IN CLASSROOM TOUR』を経て、「PEDROがバンドになっていく」経緯がわかる。楽屋でのダメ出し、コロナ禍に至る前の打ち上げでのバンドマンらしい和気藹々としたムードも映し出されつつ、PEDROが始まったばかりの時にはどちらかと言えば「やらされている」消極的なモードだったアユニ・D自身に発信力が宿っていく、考え方や価値観がガラリと変わっていく過程も見える。

 コロナ禍でライブがままならなくなり、春の『GO TO BED TOUR』が中止に追い込まれた2020年も、無観客配信ライブ、そして動員を制限して行われた秋の『LIFE IS HARD TOUR』と、PEDROは果敢にステージに立ち続ける。そうした先に辿り着いた場所として武道館がある。

 アユニ・Dが初の武道館公演を『生活と記憶』と名付けた理由を語る場面も、上京して初めて住んだ街を歩きながら振り返る場面もグッとくる。BiSHに入ったこと、PEDROでの経験を通して変わったこと、それを経て今の自分だけじゃなく過去の自分も含めて肯定できるようになったことが伺える。

 武道館でPEDROのステージを目撃した人も、当日の会場入りから密着した『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』の完全版を最後まで観てから改めて『生活と記憶』を観ると、まったく違った角度と視点からストーリーが見えてくるはずだ。

 そこにあるのは、やはり「音楽が人生を変えた」ということ。いろんな人が共有することのできるロック・ドキュメンタリーとしての鮮烈さが、そこにはある。

PEDRO / 東京 [日本武道館単独公演 ”生活と記憶”]

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」/Twitter(@shiba710)

■リリース情報1
PEDRO Documentary Film『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』
2021年7月7日(水)発売
◉初回生産限定盤 デジパック仕様(Blu-ray+Photobook)¥5,500(税込)
・フォトブック(100P予定)同梱
・『Document of SOX&TRUCKS&ROCK&ROLL TOUR』収録
◉通常盤(DVD)¥4,000(税込)

■リリース情報2
PEDRO LIVE Blu-ray / DVD『生活と記憶』
2021年7月7日(水)発売
◉ 初回生産限定盤BOX仕様(Blu-ray+SG+2CD+Photobook)¥11,000(税込)
・2021.02.13 Live at Nippon Budokan『生活と記憶』映像・音源完全収録
・アユニ・D作詞作曲のNew Single「夏」収録
・PEDRO初のオーディオコメンタリー(アユニ・D×田渕ひさ子×毛利匠太による副音声)
・フォトブック同梱
◉ 通常盤(DVD)¥4,950(税込)
・ライブ映像のみ

<2021.02.13 Live at Nippon Budokan『生活と記憶』>
01 自律神経出張中
02 猫背矯正中
03 来ないでワールドエンド
04 WORLD IS PAIN
05 愛してるベイベー
06 後ろ指差すやつに中指立てる
07 GALILEO
08 pistol in my hand
09 ボケナス青春
10 うた
11 浪漫
12 へなちょこ
13 無問題
14 Dickins
15 丁寧な暮らし
16 ゴミ屑ロンリネス
17 SKYFISH GIRL
18 EDGE OF NINETEEN
19 生活革命
20 空っぽ人間
21 感傷謳歌
22 東京
-ENCORE-
23 乾杯
24 日常
25 NIGHT NIGHT

PEDRO オフィシャルサイト

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