PEDRO、ドキュメンタリーが捉えたアユニ・Dの挑戦と変化 田渕ひさ子らの発言から浮かび上がる“バンドになる過程”

「アユニ、ベースやんない?」

 BiSHのプロデューサーであるWACK・渡辺淳之介のその一言に、アユニ・Dが困惑した顔を見せていたのが2018年2月のこと。その様子と、武道館のセンターステージに堂々と立った2021年のアユニ・Dの姿を見比べると、たった3年でここまで覚醒したんだということを痛感する。ミュージシャンとして、そして一人の人間として、まるで別人のような佇まいだ。

 PEDROが、2021年2月13日に初めて日本武道館で開催した単独公演のライブ映像作品『生活と記憶』、そして3年間の活動に密着したドキュメンタリー作品『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』が、7月7日に同時リリースされた。

PEDRO / LIVE Blu-ray & DVD「生活と記憶」+Documentary Film「SKYFISH GIRL -THE MOVIE-」[OFFICIAL TRAILER]

 『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』でアユニ・Dやその周囲の人たちに密着してカメラを回したのは、BiSHのドキュメンタリー映画も手掛けた映像作家・エリザベス宮地。映像は2月8日にYouTubeでプレミア公開され大きな反響を集めたものに、武道館公演の裏側への密着の様子を加えた完全版。PEDROが辿り着いた“ハレ”の場である武道館のステージの模様を収めた『生活と記憶』と合わせて観ることで、いろんなものが伝わってくる。音楽に出会うことで、バンドを組むことで、アユニ・Dという人がどう変わったか。それがありありと示されている。

 ドキュメンタリーはBiSH加入以前のアユニ・Dを振り返るインタビュー、そして冒頭に記したPEDRO始動の瞬間からスタートする。札幌から上京してBiSHのオーディションを受けたときの映像もある。楽器屋でベースを選んで買い、練習を始め、リハを重ね、そしてサポートギターに田渕ひさ子、サポートドラムに毛利匠太を迎えた新代田FEVERでの初ライブと、少しずつPEDROが形になっていく様子が描かれる。アユニ・Dだけでなく、田渕、毛利、プロデューサーである松隈ケンタにも取材が重ねられ、そしてデビュー時からエイベックスでBiSHを担当し、現在<EMI Records>でPEDROを担当している赤窄諒らスタッフの姿も捉えている。

 中でもアユニ・Dにとって最も大きかったのは田渕ひさ子との出会いだろう。筆者が取材を重ねていく中でも語っていたが、田渕ひさ子というミュージシャンが憧れの対象となっていくことで、アユニ・Dにとって“バンドをやる意味”の輪郭がハッキリしていく様子が収められている。

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