布袋寅泰、BOØWY時代から40年突き詰める“ギタリスト”としての境地 布袋流ギターリフの作り方も語る

布袋寅泰、“ギタリスト”としての境地

 布袋寅泰が、アーティスト活動40周年アニバーサリー第1弾リリースとなるEP『Pegasus』と映像作品『40th ANNIVERSARY Live "Message from Budokan"』を提げ、リリース日である6月30日にYouTubeにて、『布袋寅泰 40th Anniversary EP & Live Film リリース記念 スペシャルトークセッション』を配信した。

「19歳のときは、こんな髪の毛立たせてさ、こんな分厚いラバーソウル履いてさ、生意気なヤツでしたからねぇ(笑)」

 パンデミック下、日本よりも厳しい状況であったロンドン。ロックダウンにより、こうしてさまざまな人と会うのも久しぶりだという。「いやぁ、久しぶり。パパになったんでしょ?」と、登場するやいなや、古い友人との再会を喜ぶように司会のクリス・ペプラーに声を掛ける。そんな和やかな雰囲気でトークは進んだ。

クリス・ペプラー、布袋寅泰

 「若い頃は10年先もわからなかったし、40年後も音楽やってるなんて思いもよらなかった」、さらに「“周年”というのは皆さんに感謝するとき」と、いまだにいちばん大好きなギターを弾いていられるのは、ファンとスタッフのおかげであると感謝を述べた。

「今回は“ペガサス”という名前が最初に思い浮かんだんですよ、翼を広げたあの伝説の生き物。今の時代を象徴しているなと思って」

 早速話はEP『Pegasus』の表題曲へ。コロナや世界情勢など、重苦しい空気があるなかで、みんなの気持ちがアガる曲を考えたというが、最終的には自由が与えられた現代において、それを履き違えたネガティブな空気に問題提議をしながらも、聴き終えたときに開放感があるものを作ったという。「昔はみんなの期待を裏切ったものを作りがちだったけど、期待以上のものを作りたい」との思いから、「どこを切っても布袋節」な曲になったと語る。

 「Pegasus」は、BOØWYの頃を彷彿とさせるギターリフで始まる。自ら「変わっているようで変わっていない自分のスタイル」と口にする布袋のギターは、そのままJ-ROCKを代表するギタースタイルになったと言っていいだろう。クリスにリフの作り方を尋ねられると、「リフは世界観」だと答える。「メジャーなのか、マイナーなのか。ハードなのか、奥深いものなのか……ビートを鳴らしながら、探していくんですよね。(「Pegasus」は)聴いたら弾きたくなるリフだけども、そこにはトリックがある」と。そうなのだ、長年布袋のギターをコピーしてきた人間ならわかる。あの頃のままようで、現在のスタイルに進化しているリフ。ただ音を追ってコピーしただけでは、なかなかああはならないのだ。

 MVは、ストーリーがある曲だから自身のパフォーマンスではなく、ドラマ仕立てにしたと語る。布袋はロンドンで、出演している俳優・笠松将は富士山の麓で撮影が行われた。ちなみにレコーディングも、ドラムはニューヨークにいるザッカリー・アルフォードをはじめ、リモートで頼んだが、それ以外はすべてロンドンの自宅でレコーディングをしたという。

 アコースティックギターの弾き語りナンバー「10年前の今日のこと」。東日本大震災から10年、布袋はロンドンに移住して来年で10年。10年前の今頃は、震災の復興支援のためにCOMPLEX再結成の準備をしていた。そんな十年一昔、「10年前を歌いながら今を歌ってる歌、今を感じるための歌」なのだと。

 「ロックダウン中、家でギターを弾く機会が多くなり、ふとこのメロディを爪弾いていた」「言葉にしなくても歌える曲」と、ギターのインストゥルメンタルのカバーとして収録された「上を向いて歩こう」は、満足いくテイクを得るまでに70回以上も弾いたという。同曲のリリースは1961年、今年でちょうど60年だ。「僕も来年60歳ですよ」と、ずっと届き続ける音楽に敬意を表し、自分の音楽もそうありたいと語った。

 最後の「D.O.F. (Death or fight)」は、すでに格闘技イベント「RIZIN」のテーマとして使用されている。「自分を表現するための音楽ではない。また違うクリエイティブの面白みがある」と、スポーツからもらうエネルギーによって生まれる、創作力が語られた。

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