月9ドラマ『ナイト・ドクター』第1話で話題の“透き通った力強い歌声” ストーリーに温かく寄り添う琴音の表現力とは?
そんな琴音の歌声が流れたのは、「たとえ100人中99人を救えなかったとしても、たった一人救えるんだとしたら私は諦めない。朝をさ、見せてあげたいんだよね」という、ナイト・ドクターの使命とも言える朝倉美月(波瑠)の決意が語られた場面だ。“365日24時間、どんな患者も断らない”医療を目指すあさひ海浜病院に新設された夜間専門の救命センター。ここには朝を迎えることすら危ぶまれる患者たちが運び込まれてくる。工事現場の崩落事故に巻き込まれ、足を切断することになった男性、花火大会の屋台でガスボンベが爆発し、重軽傷を負った人々……。すべての命を救えるわけではない。救命センターで働くドクターたちは日々、たくさんの失われていく命とも向き合っていかなければならない。
第1話では、岸演じる研修医あがりの元内科医・深澤新に物語の焦点が当たり、そんな壮絶な現場に右往左往する姿が描かれた。両親を早くに亡くし、病気がちな妹・心美(原菜乃華)の面倒を見ながら努力し、医者になった深澤。妹を元気にしたいとの想いで医者になったものの、内科医として平穏な毎日を送りたいと思っていた彼は、救急医になる自信もやる気もない。人の生き死に責任を持つことなんてできないと、挙げ句の果てには独断で救急患者の受け入れを断ってしまう。しかし、実はその患者が心美だったことが判明。自分の判断で妹を危うく失いかけた深澤は自分を責めるが、美月の言葉に影響され救急医を続けていくことを決意するのだった。
そうこうしている間に朝日が昇り、みんなが眠っている間に奮闘した命を救った人と救われた人の頬を照らしていく。そんな幻想的な風景が琴音の壮大な歌声とマッチして、感動をもたらした。歌い出しは患者とナイト・ドクターに「もう朝が来たから大丈夫だよ」と優しく語りかけているようで、〈揺れてる心 震える手/今日こそはと信じたい〉というフレーズが医者として未熟なところもある深澤を奮い立たせる。琴音の「君は生きてますか」は朝の訪れと、ナイト・ドクター5人が新たなステージに立って成長していくであろう余韻を感じさせてくれた。
また、〈夢を見れば見る程に 孤独でも/この命を燃やして生きるんだ〉というフレーズは、『音楽チャンプ』で初代グランドチャンピオンとなり、翌年2019年にEP『明日へ』でメジャーデビュー、そして今回月9で初のオリジナルナンバー担当と、着実に夢への階段を駆け上ってきた琴音の心境とも重なりそうだ。コロナ禍の今、夜明けを待つような私たちの心にも、暗闇の中で不安を抱えながら奮闘するナイト・ドクターの姿と、彼らに寄り添う琴音の歌声は力強く響くだろう。
■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。
■リリース情報
琴音「君は生きてますか」
6月21日(月)リリース
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