内田彩、今井麻美、和氣あず未……鬱屈とした6月を晴らす女性声優の最新作
場所によっては例年より遅い梅雨入りとなった6月。どんよりとした空模様、夏に近づいていることを予感させるジメジメとした気候が続く日々では、日頃耳にする音楽の響きも少し変わってくるのではないだろうか。本稿では、そんな鬱屈な気分になりがちな6月を晴らすような、女性声優の作品を紹介していく。
6月2日にリリースされた内田彩の5thシングル『Pale Blue』は、表題曲が先日最終回を迎え、今年10月からは第2期の放送も決定したTVアニメ『やくならマグカップも』(TOKYO MXほか)のEDテーマとして起用。ほぼ同時期にリリースされることとなった米津玄師の新曲(「Pale Blue」)とタイトルが一緒、という話題もありつつ、こちらはアップテンポながらも日々の些細なときめきをパッケージしたポップソングとなっている。
「Pale Blue」=淡い青色を楽曲の至るところに配色した同楽曲は、特徴ある内田のボーカルをより一層カラフルに彩る仕掛けが満載。序盤はリムショットで期待感を煽るドラム、単調なポップスにならぬようにデザインされたグルーヴィなベースライン、間奏でのロマンチックなピアノソロ、まるで菅野よう子楽曲を彷彿とさせるストリングスなど、もやもやとした脳内を晴らす爽やかなアレンジも聞きどころだ。日常系アニメにも分類される『やくならマグカップも』のEDとして、作品全体の雰囲気を捉えた楽曲であるとともに、内田の歌声で曇りがちな6月の気分を照らす、そんなポジティブな要素も持ち合わせたナンバーだ。
カップリングには「Pale Blue」よりもディープでストレートな恋模様を綴った「Destiny」を収録。メロからサビ、2コーラスからCサビと展開していくごとに内田の声における表現も変化していく。曲における主人公が徐々に想いを強めていく様を、言葉の抑揚で、コーラスとの掛け合いで、歌い方で伝えていく。こちらは少し肌寒さ感じる雨模様の日に聞いても良さそうだ。
今井麻美は、今年の初冬リリース予定のニューアルバムからシングル「タンジェリンの海」を先行で配信リリース。今井を長年プロデュースする濱田智之が作編曲を、同じく幾度となく今井へ楽曲提供してきた桐岡麻季が作詞を手がけた、まさにこの声にこの曲ありと言わんばかりのポップナンバーが到着した。
「タンジェリン」とはオレンジ 色における色彩の1種で、歌詞では夕日ではなく朝日を形容する単語として用いているところもまた面白い。1コーラス目に登場する夕日を〈インディゴの空〉、Cサビでは海へと沈む夕日に〈マゼンタの空〉と組み合わせ、その間の朝日を〈タンジェリンの海〉が繋いでいく構成は、たった一日ではなく、数日、数週間をかけて前向きな思考へと切り替わる、リアルな心境のグラデーションを表現しているように思う。なお、同楽曲を皮切りに、4カ月にわたり毎月1曲ずつアルバムからの曲が先行配信されるとのこと。7月にはどのような楽曲が届けられるのか、今から楽しみだ。