King Gnu、ヒゲダンがトレンドを変えた? NovelbrightやOmoinotakeら“美声ハイトーン”を担う若手バンド

 今後、ロックバンドのシーンがどのように変化していくのかは判然としないけれど、引き続き、美しいハイトーンボイスで魅了するバンドが存在感を示す可能性は高いように思う。そこで、この記事では、今後、存在感を示していきそうなハイトーンなボーカルが武器のバンドをいくつか取り上げてみたい。

 こういうカテゴライズで外すことができないバンドといえば、Novelbrightであろう。SNSで投稿された路上でのパフォーマンス動画が大きな話題となり、一躍知名度を広げたバンドである。このバンドが注目される上で、大きな武器になったのがボーカル・竹中雄大のハイトーンボイス。積極的にファルセットを多用するメロディラインは、このバンドならでの魅せ方であり、ハイトーンボイスなバンドの中でも、特にそのボーカルの強みを十全に出しているバンドといえよう。

Novelbright - ツキミソウ [Official Music Video]

 Novelbrightに続き、このカテゴリーで存在感を示しそうなバンドといえば、Omoinotakeであろう。「産声」や「By My Side」といったOmoinotakeの近年の代表曲は、出だしから藤井レオのハイトーンボイスを力強く提示している。ボーカルの美しさ一本で、一気に楽曲世界を自分の色に塗り替える力強さを持ったバンドである。

Omoinotake / 産声

 神はサイコロを振らないもまた、美しいハイトーンボイスを披露するバンドである。柳田周作の表現力豊かなボーカルが印象的で、出世作である「夜永唄」でも、冒頭から美しきボーカルが際立っている。また、ハイトーンが武器ではあるものの、強引にファルセットを使うのではなく、淡々と、丁寧にメロディを紡いでいるところも、ボーカルの美しさを際立たせる要因となっている。

神はサイコロを振らない「夜永唄」【Official Lyric Video】

 元「ぼくのりりっくのぼうよみ」のたなかが中心になって結成されたDiosもまた、今後シーンの中で話題になりそうなハイトーンボイスのバンドである。元々“若くして完成された歌声”に定評があったたなかではあるが、Diosの楽曲は、彼の持ち味であるハイトーンにより磨きをかけた印象を受ける。ボーカルの中には、ソリッドさと美しさを両輪に感じさせてくれる、不思議な聴き心地を覚える。

Dios - 逃避行 (Dios - "Runaway" Official Music Video)

 必ずしも楽曲自体のキーは高いものではないが、Lucky Kilimanjaroもまた、ハイトーンボイスが印象的なバンドだと思う。楽曲のキーがそこまで高くないため、ハイトーンなボーカルそのものに視線がいかないこともあるが、スタイリッシュな楽曲の中に瑞々しい輝きを放っているのは、熊木幸丸の伸びやかな歌声が果たしている側面も大きい。

Lucky Kilimanjaro「ひとりの夜を抜け」Official Music Video

 また、大阪を中心に活躍しているOchunismもまた、ハイトーンなボーカルが印象的なバンドである。ソウルフルで洒脱なサウンドの中にキレイにハマる洗練されたボーカルライン。ネオシティポップな装いも相まって、他のバンドにはないスマートさが楽曲の中に滲み出ている。

Ochunism - rainy【Music Video】

 もちろん、バンドにおけるトレンドは結果論でしかないわけで、数年後には今とはまったく違うトレンドがシーンを賑わせている可能性もある。しかし、今後も頭角を現すバンドの中には一定数、ボーカルの美しさが大きな武器になっているバンドがいることは確かだと思う。この記事が音楽シーンのトレンドを掴む上でのひとつの指針になればと思うばかりである。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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