いきものがかり、3人で叶えてきた幾多もの夢 山下穂尊脱退前のラストライブで届けた真っ直ぐな思い

 「この3人だからこのステージに立てた」と語る吉岡の目には涙が。「この先も見守ってほしい」と語ると会場に集まったファンからはこの日最大の拍手が送られた。

 そして本編最後に歌ったのは「風が吹いている」。

〈時代はいま変わっていく 僕たちには願いがある〉

 激動の時代を生きるすべてのリスナーの背中を力強く押してみせ、本編を締めた。

 アンコールを受けて再びステージに立った3人。水野による「3人それぞれに自分たちの日々を続けていきたいと思います」という言葉から映画『100日間生きたワニ』の主題歌としても話題の「TSUZUKU」を披露。曲中では吉岡が山下と顔を合わせながら歌うシーンもあり、3人のこの先の日々を思い描いてしまう。

 「終わりという名の始まり、始まりという名の終わり。そんな言葉を噛み締めながら演奏していました」と感慨深そうに語った山下。「山下穂尊のこと、新生いきものがかりのことをあたたかく見守ってほしい」とし、改めて来場したファンに感謝を告げると会場からは大きな拍手が送られる。そんなファンへの感謝を伝えるべく披露したのは、彼らの代表曲の一つ「ありがとう」。真っ直ぐに思いを届けようとする3人の真摯な演奏を会場に駆け付けたファンが静かに見守った。水野が「やり残した曲があります」と語り、アンコール最後に披露したのは「地球」。まだ山下と水野のふたりだけで活動していた頃に山下が書いた曲を3人だけで演奏した。活動を始めた頃、小田急線本厚木駅で路上ライブをしていた頃のように、3人だけのハーモニーを奏でてステージを後にした。

 ファンのあたたかい拍手を受けて、ダブルアンコールとして再び舞台に立った3人。サポートミュージシャンの面々も呼び込んで最後の最後に披露したのはデビュー曲「SAKURA」。ミュージシャンとしての夢を叶えた始まりの曲を最後に演奏し、3人体制でのいきものがかりに終止符を打った。

 「デビューのときに『泣き笑いせつなポップ3人組』というキャッチフレーズをレコード会社の人に考えてもらったんですけど、こんなにその言葉を3人で体現するとは……」と涙を浮かべながらも笑顔で語った水野。3時間超え、全20曲の中で数えきれないほどの笑顔と涙、そしてそれ以上にたくさんの「ありがとう」が込められた、3人体制のいきものがかり最後の日となった。3人で叶えてきた幾多もの夢を糧に、“泣き笑いせつなポップ3人組”の未来はこれからも続いてゆく。

 なお、この公演は6月18日18時29分までアーカイブ映像が有料配信されている。チケットは同日正午まで販売中。また7月25日18時よりWOWOWプライムおよびWOWOWオンデマンドにて、ライブの模様にインタビュー映像などを加えたスペシャルプログラムが放送・配信される。

いきものがかり公式サイト

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