改めて、こうした日常系動画の良さはどこにあるのだろうか。まず、好きなアーティストに対する好奇心が満たされ、親しみやすさを覚えて共感できるところではないだろうか。パフォーマンスから好きになる人、パーソナルな部分から好きにある人、ファンになるにも様々な入口がある。だが、いずれにせよ彼らの考え方やどんなことを思っているのか、隅々まで知りたくなるのがファン心理だ。日常系動画には彼らの素の部分が多々収められているため、好奇心を満たすと同時に、共感することができる。

　また、新しい発見ができるのもいい。それこそORβITの「[ORβIE] 植え替えをしました」からはYOONDONGが通りすがりに花を買うタイプであること、Hey! Say! JUMP・山田の「〜ホットケーキ作ってみた〜 」からは山田家のキッチンが信じられないくらい綺麗なこと、JO1の「豆原一成のテスト勉強」では最年少が勉強していると年上メンバーたちが集まってくる仲良しグループであることなど、パフォーマンスからは見えない面が見えてくる。ファンにとってはアーティストをより好きになるエネルギー源になるし、アーティスト側にとってもメンバーの魅力をより広く発信できる良いプロモーションツールになっていると言えよう。

　世の中の経済活動が少しずつ戻りつつあるとはいえ、以前のようにはイベントやコンサートができない状況が続く今、アーティストたちをより近くに感じられるツールが日常系動画だ。こうしたニュースタンダードが広がることで、より多角的にアーティストを応援する楽しみが感じられそうだ。