[Alexandros]、Crossfaith ……『機動戦士ガンダム』とバンドサウンドの親和性 両者の共通点から紐解く
『ガンダム』シリーズの魅力は、単なるロボットアニメではなく、主人公が持つ正義、敵対する相手の正義、見守る家族や仲間の正義、一方通行の善悪では語れない人間模様を描いている点にある。未だ遠い未来の舞台設定ながら、主人公をはじめとした登場人物が抱える苦悩や葛藤は、現代社会を生きる私たちと変わらない。
両者の音楽に共通しているのは、不条理な現実に苛まれながらも、自らの生き方を貫き通すような決意の描写だ。痛みと向き合いながら、己を信じて道を切り開く。それはバンドそのものの姿でもある。
また、英語詞で自分たちの音楽を表現できる点も大きい。[Alexandros]で作詞作曲を務めるフロントマン・川上洋平はもともと英語詞を得意としており、「閃光」では英語バージョンも同時リリース。Crossfaithもデビュー当時から世界を見据えており、英語詞での制作を徹底している。『ガンダム』シリーズは日本を飛び越えた様々な国の人から愛されるコンテンツだ。そのためグローバルな音楽展開が期待できる両者に白羽の矢が立ったのではないだろうか。
過去の『ガンダム』関連作品を振り返ると、UVERworld、BLUE ENCOUNT 、KANA-BOON、SPYAIRなどのロックバンドが起用されている。いずれの楽曲も疾走感溢れるナンバーであり、バンドに根付く独自の反骨精神が『ガンダム』の主人公に投影されている印象だ。コラボレーションする相手が大きな存在であればあるほど、世界観を踏襲する過程で個性を見失いかねない。だからこそ、強固な音楽性を持つバンドへの期待は大きい。魅力の掛け合わせによって、コンテンツの力をさらなる高みへと導く役割が求められている。
■平井みか
在宅編集者・ライター。情報誌、フリーペーパーの制作会社で編集及び広告制作に従事。現在はフリーでWebメディアを中心に活動中。
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