『Kitrist Ⅱ』インタビュー

Kitri、広がっていく音楽と変わらない関係性 「楽曲という種がいろんな出会いで生まれ変わる」

「Kitriの音楽の可能性に気づかせてもらえた」(Mona)

ーー「NEW ME」でもう一つ印象的なのはサックスパートで、全体的にダンサブルなジャズナンバーになっていますけど、そこは意識的だったんですか。

Mona:意図していたわけではないんですけど、最初に10秒くらいのトラックをアレンジャーの磯部智さんが送ってくださって、そこに自由にピアノを乗せながら作業を進めていったので、初めての作り方でした。ここでサビが来て、ここに間奏があって......みたいなのが全く見えない中でどんどん変化させていった、ちょっと未知な曲になったと思います。

ーーそして「青い春」や「君のアルバム」を聴いていて感じたのは“ノスタルジー”なんですけど、Monaさんの歌詞はただ単に懐かしさをくすぐるだけじゃなくて、ちゃんとこれからの未来まで想いを馳せるものになっていますよね。

Mona:私自身、懐かしいことや思い出が大好きなんですけど、「それって今は存在しないものなんだ」っていうことを同時に考えることも多くて。ただ癒されたり温かい気持ちになるよりも、「今の自分ならどうしていこうか?」っていうところまで考えているのかもしれないです。逆にいうと、現状に満足していても、過去にしかない良さっていうのもあると思っていて。「青い春」は青春をテーマに書いてますけど、やっぱり10代の青春には絶対に戻れないと思いますし、いずれ年齢を重ねていったら20代にも戻れないっていう時がくると思うので、その時にしかないものを見つめながら過ごすことは大事にしていますね。

ーー〈一瞬一瞬 移り変わる今日の日を/刻むしかない〉と歌われていますもんね。「青い春」には〈さよならより言いたい言葉がある〉という素敵な1行もありますけど、別ればかりを惜しまないで、これからの出会いも楽しんでいきたいというストーリーに着地していますよね。

Mona:まさに、今おっしゃってくださったような気持ちです。

ーーでも、ずっとそういう気持ちを持ててきたわけではないですよね、きっと。何かきっかけがあったんですか。

Mona:例えば何かで失敗したり、選択を間違ったかなって後悔したり、いろんな経験をしてきた中で、悲しい気持ちになったり落ち込んだりしますけど、時間が解決することも多いんだなって最近思ってきて。クラシックピアノをずっとやってきて、周りもみんなクラシックピアノ一本でやってきた人たちばかりなので、上には上がいるんだなっていうことを知って、いろんな挫折や不安、劣等感がずっとあったんです。でも、そこからポップスの道を発見して、こうしてKitriの音楽が作れているわけなので、そういう経験があったから今があるんだなって思えるようになったのかもしれません。

ーー足りないものとちゃんと向き合えたからこそ、今があるわけですよね。不安や劣等感を音楽に変換できなかったら、Kitriは生まれていないかもしれないですし。

Mona:本当にその通りですね......!

ーーあと「青い春」はサウンドとしても王道のJ-POPにかなり接近しています。

Mona:スタッフの皆さんと話し合った時に、「Kitriって自分たちのど真ん中にあるポップスをまだ書いてないよね」っていう話になって。自分がポップスを書けないのか、あえて書いていないだけなのか、それさえもわからなかったんですけど、1回ちゃんとトライしてみるのもいいんじゃないかと思って。多くの方はそういう曲から書き始めるのかもしれないですけど、自分たちにとっては初挑戦でしたし、書いていないタイプの曲を作ってみようという目的で書いてみました。

ーーすごくいい曲ですし、アレンジに網守さんが入ることで一筋縄ではいかない曲にもなっている。アレンジャーがいてくれることで、自由なソングライティングが成功した例でもありますよね。

Mona:そうですね。網守さんがデモに楽器のアレンジを入れてくださっていて、それだけでも充分に完結していたんですけど、ただのポップな曲ではなくて、ピアノや歌い方でKitriの強みを生かしていこうって思えたので、ところどころこだわりのポイントが前に出るように作れました。

Kitri - キトリ-「羅針鳥」 Rashin dori Music Video [official]

ーーそして面白いなと思ったのは、「羅針鳥」をリアレンジした「羅針鳥 (S.A. Rework)」や、「別世界」のメロディを挿入した「水とシンフォニア」なんですけど、過去曲を一つのモチーフにしながら、新しい音楽を生み出しているわけですよね。先ほどの時間の話で言うなら、過去に作ったものを今の視点で解釈できるっていう面白さも今作には詰まっていると思うんですよ。

Mona:あぁ〜、確かに! 過去が繋がってきて今があるので、今の視点で過去の曲を楽しむのもすごくいいなって思います。「羅針鳥 (S.A. Rework)」は、網守さんが私たちの弾いていた音をリミックスしてくださったんですけど、同じ歌詞とメロディでもこんなに違う解釈になるんだと思って、Kitriの音楽の可能性を気づかせてもらえた気がします。

Hina:「羅針鳥 (S.A. Rework)」には、網守さんがクラシックフレーズをこっそり入れてくれたりとか、そういう遊び心のある感じがすごく好きですね。一つの面だけじゃなくて、また違う角度から見たら新しい景色が広がるという意味で、音楽として面白いなと感じました。

Mona:自分たちが楽曲という種さえ持っておけば、そうやっていろんな人たちとの出会いで生まれ変わることができるんですよね。1stアルバムの時はまだ曲を作ることに必死でしたけど、今は過去を振り返ったり、未来を見つめたり、いろんな視点で音楽を楽しめています。今までの自分たちあっての『Kitrist Ⅱ』なので、過去と今と未来を繋げて聴いていただけるのは嬉しいですね。

ーーKitriであることの自信や誇りも強まっているんじゃないでしょうか。

Mona:本当にそうですね。デビューしたての頃は、「Kitriでどんな音楽を作っていったらいいんだろう?」「そもそも私たちってどういうユニットなんだろう?」って悩んでいたんですけど、自分たちが楽しければそれを楽しんでくれる人がいるっていうことがわかったので、『Kitrist Ⅱ』は力が抜けた自然体のアルバムになったかなと思います。

Hina:それこそKitriが始まった頃は作詞も全てMonaがやっていて、1stアルバムで私は少しだけ作詞した感じだったんですけど、今回はたくさんの曲で作詞に参加できましたし、これからライブでも新しい楽器をどんどんやってみて、やりたいことに挑戦する機会を増やしていきたいです。そうすれば楽しくできる可能性がたくさんあるって気づいたので。まずは今回のアルバムの挑戦を通して、Kitriの新しい一面をお届けできるんじゃないかと思います。

ーーその上で、「君のアルバム」を聴いても感じたことですが、2人の関係性だけはずっと変わらないですよね。

Mona:はい。昔から姉妹として仲良かったですけど、今はKitriの一番大事なパートナーとして結束力が強まっているので。ますますKitriのことを楽しんでいただけるようになるかなって思います!

Kitri『Kitrist Ⅱ』

■アルバム情報
Kitri 2ndアルバム『Kitrist Ⅱ』
4月21日(水)¥5,000(税込)
購入はこちら

<収録内容>
1 未知階段
2 人間プログラム
3 青い春
4 NEW ME
5 羅針鳥(S.A. Rework)
6 小さな決心
7 水とシンフォニア
8 赤い月
9 パルテノン銀座通り
10 Lily
11君のアルバム

<Blu-ray>
①『Kitri Live Tour 2019 AW 「キトリの音楽会#2」2019.11.01(Fri)@東京品川教会グローリア・チャペル』
Allegro Tangabile
目醒
生きるすべ
細胞のダンス
一新
LIFE
リズム
一週間
深夜高速
real
矛盾律
さよなら、涙目
アン・ドゥ・トロワ
Dear
羅針鳥
終わりのつづき
②Music Video 「君のアルバム」収録

■ライブ情報
Kitri Billboard Live 2021SS『Kitri & The Bremenz Live』
6月13日(日)ビルボードライブ横浜
6月20日(日)ビルボードライブ大阪
【1部】開場15:30 / 開演16:30
【2部】開場18:30 / 開演19:30
¥4,000(カジュアルエリア1ドリンク付き)
詳細はこちら

■関連リンク
Kitri Twitter(@__kitri):https://twitter.com/__kitri
Kitri Instagram(@__kitri):https://www.instagram.com/__kitri/
Kitri official web:http://www.kitriofficial.com/
Label BETTER DAYS:https://columbia.jp/kitri/

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