乃木坂46 1期生、キャリア10年目に突入した表現の豊かさ 後輩メンバーに背中で示したグループの歴史

 3月29日、乃木坂46の『9th YEAR BIRTHDAY LIVE~1期生ライブ~』が配信で催された。グループ全体でのライブと期生別ライブを分散して開催している今年の『9th YEAR BIRTHDAY LIVE』、前日の28日には葛藤含みの歴史を現在形に昇華し、また堀未央奈の在籍中ラストステージを飾った『2期生LIVE』で期生別ライブの幕を開けた。続いてこの日、グループの創設メンバーである1期生たちによって描かれたのは、今日に至る乃木坂46のキャリアをあらためて多面的に映し出すような風景だった。

乃木坂46 1期生

 冒頭、「制服のマネキン」から「会いたかったかもしれない」「指望遠鏡」、そして「君の名は希望」まで、デビューから1年余りの間に発表された楽曲群でライブはスタートする。ここでは、かつての「制服のマネキン」の振付パターンや、スタンドマイクを使用しての「指望遠鏡」など初期のイメージを踏襲し、グループの原点を自覚的に打ち出してみせる。

 もちろん、リリース時も1期生のみで披露されていたこれらの楽曲だが、9年を経た現在では以前のような人数的ボリュームはない。それでも現行の8人によるパフォーマンスに寂しさを感じないのは、グループがキャリアを積むにつれ個々人が培ってきた表現力、タレント力の賜物である。

 そうした演者としての説得力や余裕がなければ、セットリスト中盤に配置された遊び心にあふれる、メンバー同士による披露曲プロデュースのブロックは成立しえなかったはずだ。

 星野みなみがプロデュースする、生田絵梨花センターの「13日の金曜日」という新鮮なマッチングで始まったメンバープロデュースブロック。齋藤飛鳥プロデュースによる秋元真夏の“猫語”版「Out of the blue」、松村沙友理がプロデュースする高山一実のエアピアノ「僕のこと、知ってる?」、あるいは齋藤のパフォーマンス中に秋元がプロデューサー役として指示を出す「ロマンスのスタート」など、メンバーたちがプロデューサーとパフォーマーとしてタッグを組みながら、ファンに向けて企画性の強い発信をしてゆく。

 一方で、メンバーの適性をオーソドックスに、かつフレッシュに提示していくようなアクトも織り込まれる。星野がプロデュースする樋口日奈センターの「命は美しい」では、樋口のソロダンスパートをフィーチャーして彼女の表現力を活かし、星野は和田まあやのプロデュースで、ダンサーとともに「欲望のリインカーネーション」を披露、楽曲とメンバーとの組み合わせに新たな可能性を示していく。

 生田プロデュースで松村が歌う「釣り堀」では、客席からホールのロビー、渡り廊下へとステージ外のロケーションを用いながら、彼女の魅力をナチュラルに引き出し、対照的に松村がプロデュースした和田の「ガールズルール」ではインド映画をモチーフに、抜けのいい時間を演出する。充実したキャリアを積み重ねてきた1期メンバーによる祭は、人数的な規模感を超えた豊かさをたたえていた。

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