『Take Over』インタビュー

DEAN FUJIOKA、現状と向き合い到達した新境地 コロナ以降の制作スタイルについても明かす

複数の言語を使いこなすDEAN FUJIOKAならではの“日本語解釈”

ーー2曲目「Follow Me」はどんなきっかけで生まれたんですか。

DEAN:前回、Yaffleさんと「Made In JPN」という曲をやって、もう一度やりたいなという流れで。前の曲はポジティブで、報道番組のタイアップがきっかけだったんですけど、報道って作家性だけじゃ押し切れない部分があるじゃないですか。王道を行くっていう、ある意味すごく針の穴を縫うような作業だったんですけど、逆に今はそういうことを考えないで肩の力を抜いてチルな曲を作ろうと思って。D'Angeloの曲とかかけながら、こういう感じはどうかなとか考えていたら、フックはすぐに出てきましたね。トップラインもすぐにできて、歌詞もフックと一緒にできていった感じ。最初からバースをどういうふうに埋めていくかを考えながら進めました。

ーー「Follow Me」は主に英語詞なんですよね。

DEAN:最初から〈Follow Me~〉っていう歌詞がボヤッと出てきていて。英語のフロウだったから、メロディがマーブルしていたので、このまま英語でいいかなと思ったんです。でも、途中で日本語も欲しくなったんですよ。日本語を2番で入れたことで、「英語の曲か?」と思って聴いていたら、いきなり日本語が現れるというのもいいかなって。

ーーDEANさんの日本語詞での表現の仕方が素敵なんですよね。情景が浮かびます。解像度が変わるというか。

DEAN:たしかに日本語ってそんな効果があるかもしれないですね。そもそも日本語という言語は翻訳語として生まれている部分があるじゃないですか。最初は、漢字をどうやって自分たちの社会や生活に取り込むかということから学習して、読めない字をひらがなに変化させていったし、外来というものを理解するためにカタカナが生まれて。そもそも文字表記が3つ混じる言語って、そうそう世の中にないですよね。普通はアルファベットやアラビックだけとか、漢字だけとか。韓国も昔は漢字を混ぜながらハングルを使っていたけど、今は完全にハングルだけになったし。

ーーたしかにそうですよね。

DEAN:日本語って、他の文化圏から、その時代その時代で一番発達している文明から何かを学ぼうとして努力してきた結果というか。でも言語の特性としては、ディベートや論理を語るのではなく、単純に感情をぶつけ合う側面が強いんじゃないかと思うんですよ。コミュニケーション上、お互い論理として共有できてないだろうなっていうときでも、「まあまあ」みたいに落ち着けて前に進んでしまうところとか。いいも悪いも両方あるなって。英語ってどちらかっていうと、契約書を書いてるみたいな言語なんですよね。漢字は元が絵からできているわけだし、そういう意味では、日本語は感情をぶつけ合うっていう役割と翻訳の機能のための役割が、ごちゃ混ぜになった言葉なのかもしれないですね。

ーー面白い。なかなか出てこない発想だと思います。まさに3カ国語で曲を作るからこその思考ですね。

DEAN:日本社会のなかではアルファベットもアラビア文字も使うじゃないですか。いろんな言語の影響があって、面白いですよね。日本語という言語は頑張り屋さんなんですよ。

ーーはははは。ほんとそうですね。しかも、言葉が重視されるポップミュージックへの影響って、ものすごい大きいわけですもんね。

DEAN:そのあたりを自分なりにストレッチしているというか、遊び倒しているところはあるかもしれないですね。

「“Plan B”を持つことで救われる命があるかもしれない」

ーーでは、3曲目は「Plan B」ですが、アジアツアーがコロナ禍で中止となったことを受けての異なるプランとして、昨年末に開催したオンラインライブのタイトルでもありました。

DEAN:サウンドや歌詞、曲の話以前に、そもそもみんな“Plan A”としての人生を生きていたわけじゃないですか。それがいきなりコロナ禍になって、誰もが“Plan B”に行かざるを得なくなった。とはいえ「“Plan B”をまったく用意していなかった」のと、「最悪こうなったらこうすればいいや」みたいなのでは、だいぶ違うと思うんですよ。結局これはネガティブをネガティブとして受け止めて、掘り下げようと思った曲なんです。“Plan A”がどうしようもなくなってしまったときに、人々がとった反応や選択。人によっては変化を受け止められなくて、仕事や生活が続けられなくなったり、コロナの影響で家に住めなくなった人もたくさんいるじゃないですか。どこまで備えていても、何か大きなことがあると本当にどうしようもないときがあるんですよね。ゆえに不可抗力かもしれないけど、抵抗しなきゃいけないっていう。

DEAN FUJIOKA - “Plan B” Music Video

ーー考え方を変えるという決断ですよね。

DEAN:“Plan B”を常に想定しながら生きることの大切さを改めて感じたし、“Plan B”を持つことで救われる命もあるかもなって考えたんです。例えば、自分にとっても周りにとっても辛い”Plan A”選択をするしかない状況ってどういうことなんだろうと真剣に考えました。「そのときの精神状態ってどんな状態なんだろう」というのを音で表現したのが「Plan B」です。キメラみたいな曲構成になっていて突拍子もないけど、生命が急に止まるってそもそも突拍子のないことなので。

ーーとことん深掘りしたということですね。

DEAN:はい。もうひとつ「Plan B」の歌詞にはテーマがあって、共依存の関係性なんです。何かに依存している状態って、依存している本人が依存する対象を欲しているだけではなくて、もしかしたら依存されている側も依存してくれる人がいないと、共存できないのかもしれない。「どっちが依存しているんだろう」みたいなことってあるじゃないですか。曲構成に関しても、突拍子なくて2番がないという。川の流れのように、人生の流れのようにフェイドアウトして終わっていくのが結論としていいなと思ったんです。

ーーいまを生きるリスナーのリアルに直結する、目を背けられない現状ととことん向き合った作品ということですね。2018年にリリースした「Echo」の叫びに通じるようなものを感じました。ちなみに、最近はどんな音楽を聴かれてるんですか。

DEAN:いまハマっているのは、2周してエイミー・ワインハウスですね。すごい才能を亡くしたなって思いますよ。

ーードキュメンタリー映画『AMY エイミー』とかヤバいですよね。

DEAN:もともと彼女のシンガーとしての魅力が好きだったんですけど、『AMY エイミー』を観て、彼女の人生にグッときちゃいました。同じ曲がまったく違う聴こえ方をしちゃって、違うディメンションが生まれたというか。

ーー音楽ってそういうことありますよね。

DEAN:エイミーみたいな存在って、そうそういないですよね。カート・コバーンやチェット・ベイカー、生きてますけどD'Angeloとか......。言葉でいうと“破天荒”というすごく簡単な言い回しになってしまうんだけど、「なんでそうなっちゃうの」「どうしてそっちへ行っちゃうの?」みたいな、何かを犠牲にして生まれた音楽だからこそ、強く訴えかけてくる作品になったんだと思いましたし、いまはそれをより強く感じるようになりましたね。

サイン入りポスタープレゼント

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※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
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<締切:3月24日(水)>

■リリース情報
DEAN FUJIOKA『Take Over』
初回限定盤(CD+DVD)¥2,700+Tax
通常盤(CD)¥1,400+Tax
完全生産限定プレミアムセット(CD+GOODS)¥5,500+Tax
※GOODSは“Plan B”オリジナルハット

<CD収録曲>
01. Take Over
02. Follow Me
03. Plan B

<DVD収録内容>
・「Take Over」Live Music Video
・「History Maker “Plan B Remix”」Live Music Video
・「Neo Dimension」Lyric Video
・「Neo Dimension / The Reborn」(Neo Dimension制作ドキュメンタリー)
・『DEAN FUJIOKA FamBam Exclusive “#Acoustic”』
01. Made In JPN 
02. Sakura 
03. Echo 
04. Shelly 
05. My Dimension

<完全生産限定プレミアムセット>
仕様:CD(通常盤)+GOODS
価格:¥5,500+Tax  品番:AZNT-56
※完全生産限定プレミアムセットはアーティストオンラインショップ「アスマート」での数量限定販売となります。

DEAN FUJIOKA『Take Over』特設サイト
DEAN FUJIOKA Official Site

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