手嶌葵、『天国と地獄 ~サイコな2人~』主題歌「ただいま」はドラマの進行を考察する鍵に? 今後の“聴こえ方の変化”にも注目
手嶌葵が2月24日、ニューシングル『ただいま』をリリース。表題曲「ただいま」は、日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』(TBS系)の主題歌として書き下ろされたもので、2月3日に先行配信される。
綾瀬はるかが主演を務める『天国と地獄 ~サイコな2人~』は、1月17日より放送がスタートした。初回の見逃し配信が、2019年に放送されたドラマ『グランメゾン東京』の202万再生を大きく上回る236万再生を記録するなど、大きな話題を集めている。
脚本は、TBS金曜ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)や、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013年)、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017年)などを手がけた森下佳子。鹿児島・奄美大島に古くから伝わる「月と太陽の伝説」をモチーフとしたオリジナルストーリーで、綾瀬扮する刑事・望月彩子と、高橋一生が演じるサイコパスな殺人鬼・日高陽斗の魂が入れ替わるという、いわゆる「スイッチエンターテインメント」。初回分が放送されるや否や、ネット上では様々な「考察」が上がるなど、『あなたの番です』(2019年)や『テセウスの船』(2020年)の時を彷彿とさせるような現象が起きている。
1月24日に放送された第2話では、魂が入れ替わった彩子(演:高橋一生)が日高(演:綾瀬はるか)に、「出頭し塀の中で一生を過ごすか、それともお互い協力し容疑を晴らすか」という究極の選択を迫る。仕方なく後者を選択した彩子は、日高の指示に従い犯罪の証拠品を持ち出すことに成功。警視庁捜査第一課の刑事、河原三雄(北村一輝)による家宅捜査を乗り切るのだった。
その後2人は互いに連絡を取り合いながら、それぞれのテリトリーで生活を送ることに。慣れない「自分の」身体と、職場・生活環境に戸惑う彩子(演:高橋一生)とは対照的に、スイッチングした肉体を「活用」しながら次々と彩子に指示を与える日高(演:綾瀬はるか)。そんな中、彩子の部下でバディの八巻英雄(溝端淳平)が、彼女の「異変」に気づき、日高と魂が入れ替わっている事実を突き止めた……。
第2話の放送終了後もネットは騒然。「実は、日高は何度もスイッチングを繰り返しているのでは?」「2人の名前と『月と太陽の伝説』には関連性が?」「凶器の丸い石は、奄美大島の石?」など、「原作」のないオリジナルストーリーならではの、「先の見えない展開」に様々な憶測が飛んでいる。
何より、綾瀬はるかと高橋一生の「演技合戦」は大きな見どころの一つ。とりわけ高橋一生は綾瀬はるかの特徴を「完コピ」しており、彼の振る舞いを見ているとまるで綾瀬はるかが憑依しているかのようだ。
サスペンスのようであり、サイコホラーのようでもあり、コメディ的な要素もある。今後の展開も見逃せない、そんなドラマのエンディングに流れているのが、手嶌葵による主題歌「ただいま」だ。作詞は「こころをこめて」(2019年)や「真夜中のメロディ」(2020年)他、手嶌の作品を数多く手がけたいしわたり淳治が、2019年のNHK紅白歌合戦で竹内まりやが歌唱し話題となった「いのちの歌」の作曲などを手がけた村松崇継が担当している。
曲調は、手嶌が得意とするオーセンティックなバラード。ピアノとストリングスが絡み合うイントロに導かれ、優しく包み込むような手嶌のウィスパーボイスが漂いだす。穏やかで抑制の効いたメロディは、続くBメロから入ってくるドラムとともに少しずつ輪郭を帯びていき、スタッカートを用いたストリングスがほのかに緊張感を漂わせる。そして、一瞬のブレイクと共にサビに突入すると、ドラマティックなティンパニと厳かなクワイアが、メジャーとマイナーを行き来するメロディをドラマティックに盛り立ていく。目を閉じて聴いていると、月明かりに照らされた奄美大島の海がありありと浮かんでくるようだ。
〈別れ話は冗談だと言って ふざけた顔で驚かせて お願い〉というBメロの歌詞からも分かるように、この曲は別れた恋人に向けて歌われている。かつては同じ場所に住んでいたが、今はもういない恋人宛に届く郵便物や、〈悲しいくらい綺麗に片付いたまま〉の部屋によって、相手の「不在」を強烈に意識せざるを得ない主人公の、やるせない想いが綴られている。今のところ、ドラマ『天国と地獄 ~サイコな2人~』のストーリーとは直接関係のなさそうな歌詞だが、ひょっとするとドラマが進行していくに従って、何かしら「考察」のヒントになるようなワードが散りばめられているのかもしれない。「ただいま」の聴こえ方が、今後どう変化していくかも気になるところだ。