『VS嵐』総合演出が振り返る、“嵐の5人とだからこそ”できた番組づくり 名物企画誕生秘話や思い出深いエピソードも明かす

 12月24日に最終回を迎える『VS嵐』(フジテレビ系)。独自のゲームや嵐とゲストの和気あいあいとしたトークなどで、2008年の放送開始から10年以上にわたり親しまれてきた。リアルサウンドでは今回、そんな番組を立ち上げ、総合演出として携わってきた萬匠祐基氏へ最終回を前にインタビュー。番組スタートの経緯や嵐の魅力、印象深いエピソードなどを聞いた。(編集部)

出演者が可愛らしく、チャーミングに見える企画を

ーーまず、萬匠さんがこれまでに関わった番組を教えてください。

萬匠祐基(以下、萬匠):僕は1999年入社で嵐と同期です(笑)。最初は『LOVE LOVE あいしてる』をメインに主に音楽番組のADをやっていました。そのあと3年目にスポーツ局に異動しました。

ーーもともとスポーツ番組志望だったんですか?

萬匠:そういうことでもなかったんですが、ADがとにかく辛くて逃げるように(笑)。大学までずっとラグビーをやっていたこともありまして。ただスポーツ局ではバラエティで培ったものが活きて、すぐディレクターをしたり、色々やらせてもらう機会がありました。それでディレクターをやるのが楽しくなって、遅ればせながらバラエティの華やかな世界でもやってみたいなという思いになりました。

ーーその後に『VS嵐』を立ち上げられたんですね。

萬匠:入社5年目にスポーツから音楽バラエティに戻ってからは『HEY!HEY!HEY!』のADを1年くらい、ディレクターを半年くらいやりました。そのあと28歳の時に先輩の急な異動もあり、『HEY!HEY!HEY!』の総合演出になって(笑)。ディレクターの方々は全員年上で、多分ゴールデン番組では当時最年少の総合演出でした。音楽番組をやっていたこともあって、2007年に初めて『ジャニーズカウントダウン』の総合演出をやりました。それが、嵐が初めて司会をする年で。嵐は当時土曜のお昼、30分枠で番組をやっていたんですけど、『花より男子』もあり人気が出始めていました。年が明けてすぐに上司から電話があって、「4月スタートで、土曜のお昼枠からゴールデンに行けるような嵐の番組を考えなさい」と言われて。それで考えたのが『VS嵐』でした。

萬匠祐基

ーー『VS嵐』のアイデアは、どういったところから思いついたんですか。

萬匠:僕が担当していた『HEY!HEY!HEY!』の裏で『フレンドパーク(関口宏の東京フレンドパークII)』が放送されていたんですよ。当時、そういうアトラクションやゲームをやる番組が『フレンドパーク』くらいしかなかったので。あとゲームだと、トーク番組や演技をしている時には見られないような、素の熱のある顔が見えるんじゃないかと。魅力的なゲームを開発して、嵐の皆さんが豪華ゲストの皆さんと対決する、という内容ならゴールデンを目指せるんじゃないかなと思いました。ゲームはその時点で、もう4つくらい思いついていて。最初は土曜のお昼でしたけど、最初からゴールデン帯を意識していたので時間帯には合っていなかったかもしれません(笑)。

ーー当時浮かんでいた4つは今もあるゲームなんですか?

萬匠:クリフクライム、フォーリングパイプ、ローリングコインタワー、もう1個は今はやってないんですけど、キャッチングブリッジ。コインタワーははたまにやっていますし、クリフクライムはバージョンアップして今もまだ続いています。

ーーアトラクションはもちろん、「BABA嵐」、最近だと「クイズ松本潤」「Mr.VS嵐」なども名物企画になっています。こうした企画はどんなふうに考えていったんでしょう?

萬匠:「BABA嵐」は、嵐のメンバー同士で対決をする時に、ババ抜きをやってみたところとても面白かったので、「特番に投入しよう」とすぐ提案しました。嵐の皆さんは最初「手ごたえ感じるの早すぎない?! 本当に大丈夫?」という反応でした(笑)。アトラクションでかっこよく登っている姿もそうですし、ババをひいちゃうシーンなど、どの企画を考えるにしてもとにかく出演者の方が可愛らしく、チャーミングに見える方が良いなとイメージして作っています。

ーー「クイズ松本潤」はいかがでしょう。

萬匠:松本さんが映画の番宣でゲストチームとして登場した回に、松本さんを主役にしてゲームができないかなと思ったんです。その時は番組が始まって10年くらい経っていて、関係性もできつつある頃で。松本さんは、常人では貫き通せないような芯を持っているというか。正しいことではあるんですけど、「あ、それ言うんだ」というのが面白かったりもするし(笑)。それを見てクスクス笑っている他の4人の姿だったり、4人にしかわからない松本さんの素顔が見えるのも良いなと思ったんです。嵐の4人以外はなかなか松本さんをいじれないじゃないですか(笑)。

ーー(笑)。SNSを見ていても楽しんでいるファンが多いなと感じます。「Mr.VS嵐」はどんな経緯で思いついたんですか。

萬匠:相葉(雅紀)さんが以前、「メンバー同士で対決したら面白いんじゃない?」と言っていたことがあって。いつか実現したいなと思っていたのが始まりです。僕は小さい頃から野球が好きで、ドラフト会議もやりたいなと思っていて。

ーーなるほど。そこでスポーツが活かされるんですね。

萬匠:真剣なドラフトの形式の中で、チームメンバーを選んだら面白いだろうなと。収録をやってみると僕が思っている以上に、5人だけでなく、チームメンバーも含めて、いつもの5倍くらい真剣に対決してくれるので、すごく熱がある対決になりました。賞金や賞品ではなく、ただ名誉をかけて戦う。12月3日の放送では、大野さんが今までに見たことないくらい真剣に戦ってくれていました。

関連記事