3rdアルバム『Rhythmic Flavor』インタビュー
伊藤美来が語る、Charaら作家陣との出会いが生んだ成長と変化「制作に深く関われるようになれたのが嬉しい」
声優アーティストの伊藤美来が、前作『PopSkip』から1年5カ月ぶりとなる通算3枚目のオリジナルアルバム『Rhythmic Flavor』を12月23日にリリースする。アニメ『プランダラ』の第1期・第2期のオープニングテーマに起用されたシングル「Plunderer」「孤高の光 Lonely dark」やゲーム『りゅうおうのおしごと!』のEDテーマ「one’s heart」などを収録した本作は、CharaやLUCKY TAPESのKai Takahashi、竹内アンナや多保孝一をはじめ、初参加のアーティストたちが楽曲提供をした、新たな挑戦に満ちた作品となった。アルバム制作の初期から深く関わり、11曲中2曲で作詞も手がけ、アルバムのタイトルに自身の呼び名である“mic”(みっく)をひそませた彼女が新作を通して届けたかった思いとは?(永堀アツオ)【最終ページに読者プレゼント有り】
自ら提案したタイトル『Rhythmic Flavor』に込めた作品コンセプト
ーーいきなりですけど、髪を30センチも切った理由から聞いていいですか。
伊藤:2年くらい前にテレビで“ヘアドネーション”っていう髪を寄付する活動があるっていうことを知って。素敵だな、いいな、やってみようと思って、髪を伸ばしてたんですよ。だから、最初から30センチくらい伸びたらすぐに切ろうと思ってたんですね。それが、たまたまMVやジャケットの撮影の期間と被って、こんな感じになりました。
ーー「Good Song」のMVはロングヘアのままサロンで撮影していて、続く「BEAM YOU」ではハサミを持ってましたよね。切ってるところも見れるのかなと思ったんですが……。
伊藤:そうですよね。監督さんにも「切ってるところを撮りたい」って言われました。でも、「いつもの方にちゃんと切っていただきたいんです」って言ったら、「わかりました」って折れてくれて(笑)。あの2曲は同じ場所で撮ってるんですよ。最初は全然違う設定だったんですけど、いつの間にか舞台が美容室になってて、なんか意味深な感じになってしまって。でも、特に意味はないんですよね。
ーーファンはざわついてなかったですか?
伊藤:ざわついてましたね(笑)。「何か心境の変化があったんだろう」って。男性からすると、女性が髪をこんなに切るなんて、絶対に何かあったんだって思うかもしれないけど、ほんとに全然なんにもないんです(笑)。よく“髪は女性の命だ”っていうけど、私の考えでは、いつでも切れちゃいます。ただ、ヘアドネーションをしたいがために伸ばして切っただけなので、ファンの人たちも、今は「あ、そういうことね」って受け止めてくれてると思います。
ーー大きな心境の変化があったわけではないんですね。2016年10月にソロアーティストデビューをして、この10月で5年目に突入したことに関してはどう感じてますか。
伊藤:今、そう言われて、もうそんなに経ってたんだ……って思ってます(笑)。すごくあっという間な気がしますね。シングルを7枚出させていただいて、アルバムも3枚作って。ちゃんと月日を考えてみると、そりゃ5年も経ってるかって思うんですけど、感じ方としてはあっという間でした。
ーー音楽活動に関しては心境の変化はありましたか。この4年という月日で言うと。
伊藤:いっぱいあったと思います。デビューしたての時は、右も左もわからなくて。そもそも、学生の時から、歌もそんなに歌ってこなかったんですね。友達に誘われたら、カラオケに行くくらいで、歌が上手いって言われたこともなかった。自分の歌に対しての意識がなかった学生時代を過ごしていたので、本当に何もわからない状態でソロデビューして、いろんなことを教えていただいて。大人が用意してくれたものに対して、しっかり応えなきゃとか、ここまでのレベルに持っていかなきゃっていうので、いっぱいいっぱいだったし、ついていくだけで必死だったんですね。でも、続けていくと、だんだん、「こういう曲を歌ってみたいです」とか、「MVはこういう雰囲気でやってみたいです」とか、自分の中でいろいろと想像ができるようになったかなと思います。
ーー3枚目のアルバムはどんな作品にしたいと考えていましたか。
伊藤:今作は打ち合わせの初期の初期から関わらせていただいていて。どんなコンセプトにするか、どんな曲にするか。タイトルも自分で考えましたし、こういう曲を歌いたいっていう案も出して。そうして、アルバムの制作に深く関われるようになれたのが嬉しいですし、スタッフの方々から意見やアイデアを聞いてもらえることも嬉しくて。デビューしたての時は「わかんないです……」ってなってたけど、今ちゃんと答えられるようになったのは、自分でも成長できてるのかなと思いますね。
ーー今のお話にあったコンセプトとタイトルについて聞かせてください。
伊藤:伊藤美来の音楽に多幸感を加えて、幸せな気持ちになるアルバムを作りたいなと思ったんです。「幸せな気持ちになれるような曲をいっぱい集めてますよ」っていうコンセプトをどうやってタイトルで示そうかって考えていたんですけど、私、よく取材で、「今回の楽曲はどうなりましたか?」って聞かれた時に、どの曲に対しても、「リズム感が楽しくて」とか。「体が思わず動いちゃうようなリズムなんです」とか、リズムにまつわる言い回しをすることが多くて。そのことに、駅のホームでハッと気づいたんです。だから、まず、“リズム”っていう言葉を使いたいなと思って。プラス、アルバムだから、「〜ボックス」のように、いろんな種類があるっていうニュアンスの言葉を探していて。そしたら、それも駅のホームで(笑)。
ーーあはははは。駅のホームで思いつきやすいんですね。
伊藤:どっちも電車を待ってる時に思いついたんですけど(笑)、香水やアロマとか、香り系はフレーバーって言うじゃないですか。アイスクリームや紅茶でも使いますけど、「フレーバーの種類がこれだけあります」って言うなと思って。これまでも『PopSkip』や『水彩〜aquaveil〜』のように、目に見えないけど、なんとなく想像できるものがタイトルになったので、『リズムのフレーバー』がいいなと思って。そこに、『みっく』っていう言葉もつけば、私のアルバムだっていう個性も出るのかなと思ったので。『Rhythmic Flavor』って提案したら採用してもらえました。……タイトルについて、めちゃめちゃ語っちゃった(笑)。