森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.225
櫻坂46、大森靖子……個性溢れる女性アーティストが打ち出したメッセージ 新譜5作からピックアップ
TVアニメ『マクロスΔ』の戦術音楽ユニット・ワルキューレの美雲・ギンヌメールの歌唱担当としてデビューしてから5年。20歳になったJUNNAのニューアルバム『20×20』は、シンガーとしての成長ぶりが実感できる作品となった。作家陣に詩人・最果タヒをはじめ、 石川智晶、岩里祐穂、降谷建志(Dragon Ash)、JUON(FUZZY CONTROL)などが参加。彼女のルーツであるロック、歌謡曲を軸にした楽曲をパワフルかつエモーショナルに歌い上げている。アルバムの最後を飾る「いま」は、JUNNA自身が初めて作詞・作曲を手がけた楽曲。クラシカルな雰囲気のメロディ、ピアノと弦を中心にしたアレンジのなかで、〈今を生きる 私にしかできないこと〉というフレーズを強く響かせている。
パスピエから、前作『more humor』以来、約1年5カ月ぶりのニューアルバム『synonym』が到着。現行のオルタナR&Bの潮流を感じさせるビートが気持ちいい「まだら」、歌謡的なメロディをキッチュに進化させた「Q.」、“緻密なアレンジと卓越した演奏”というパスピエの得意技が炸裂する「現代」、歌詞、楽曲の構成を含め、すべてが回文構造になっている「oto」など、高度な音楽理論と遊び心に溢れたアイデアが融合した作品に仕上がってる。日本語の響き、繊細で奥深い意味性を兼ね備えた大胡田なつき(Vo)の歌詞も魅力的。特にアルバム最後の曲「つむぎ」には、メンバーとともに紡いできた音楽、そこから生まれた喜怒哀楽が詩情豊かに描かれていて、心を揺り動かされる。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。