話題のシンガー、Ado「うっせぇわ」バイラルチャート急上昇 社会への不平不満を強烈なフレーズで歌いこなす、圧倒的な表現力

 歌い手としてキャリアをスタートさせたAdoにとって大きな転機となったのが、jon-YAKITORY「シカバネーゼ 」やくじら「金木犀」への客演である。自宅のクローゼット内でレコーディングしたこれらの楽曲が大きな反響を呼んだことが、メジャーデビューへの足がかりになったことは間違いない。

シカバネーゼ / jon-YAKITORY feat. Ado (Official Video) - Shikabanese / jon-YAKITORY feat. Ado
金木犀 feat.Ado (Official Video)

 そして、メジャーデビュー第一弾として個人名義で発表された「うっせぇわ」は、彼女にとって記念碑的な作品になっている。作詞作曲と編曲を手掛けるのは唯一無二の個性派ボカロP、syudou。Ado自身もsyudouの楽曲を「歌ってみた動画」として発表しており、彼のファンであることを公言している。大人や社会への不平不満が詰め込まれた同曲だが、現役女子高生の視点によるリアリズムと圧倒的な表現力がもたらす迫力に驚かされる。syudouのアクの強い楽曲にのまれず、しっかり受け止めてオリジナルな表現に昇華しきっているところに、Adoの底力を感じずにいられない。〈うっせぇうっせぇうっせぇわ/私が俗に言う天才です〉というラインを違和感なく歌えてしまうのは天賦の才能ゆえだろうか。「無敵ソング」とも呼ばれている同曲は、J-POPにありがちな応援ソングの域を超えて、過酷な社会に生きる現代人の本音を代弁した“真の応援ソング”になりつつある。

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
Twitter(@Z1169560137)

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