Ezoshika Gourmet Club、多彩な楽曲で聴かせる“新世代のオルタナ” 『モミジノススメ』から紐解く早耳リスナーに話題の理由

Ezoshika Gourmet Club、多彩な楽曲で聴かせる“新世代のオルタナ” 『モミジノススメ』から紐解く早耳リスナーに話題の理由

 昨年、YouTube Space Tokyoでインディーズアーティスト向けYouTube講座が開催され、スタッフに誘われて遊びに行った際、懇親会で信頼できる音楽仲間に紹介してもらったEzoshika Gourmet Clubというバンドの名前が気になった。丸一日、忘れられなかった。数日後、ふとネットで検索して聴いたら一瞬のうちにハマった。と、同時に変わったバンド名は得をするなと思った。ネット時代にとても大事なSEO対策的にも強いネーミングである。

 まず、リズムを刻みながら畳み掛けるようにビートで煽る「昨日の月にさまよえば」に心を鷲掴みにされた。イントロで鳴り響くテクノセンス、ベースやドラム、ギターによるグルーブの躍動感。歌声とキーボードリフのキャッチーさ。なんでもメンバーはNUMBER GIRL、ZAZEN BOYS、フジファブリックがルーツにあるという。

 その後の躍進が早かった。2018年結成のバンドながら、ロックバンドの登竜門といえるMASH A&R主催のオーディション『MASH HUNT LIVE Vol.1』(2019年12月)にて、「BEST ARTIST」に選出。また、立て続けにA-Sketch、avex、J-WAVE、FM802という4社共同で行われたニューカマー発掘プロジェクト『GIANT LEAP』にて、2019年度「GRAND GIANT LEAP PRIZE」を受賞。ダブルで音楽シーン最前線のプロジェクトから大きなお墨付きを得たのだ。さらに、早耳リスナーからの評価も高く、カレッジチャート団体のCRJチャートで1位を獲得している。

 Ezoshika Gourmet Clubの楽曲には、聴く者の感情のスイッチを押す快楽ポイントが秘められている。前述の審査員のミュージックマンの方々にもきっと突き刺さったのだろう。

 90年代ロックを彷彿とさせるキャッチーなメロディ、オルタナの影響を漂わせる畳み掛けるような気持ちのいいバンドアンサンブル、甘酸っぱいリリックが軽妙にドライブする伸びやかなボーカリゼーション。計算された緻密な楽曲構築のセンスの良さで、カルピスなどのCMソングをガンガン作れそうなイメージを持ち合わせている。刺さるポップセンスと個性豊かなバンドアレンジの凄みーーあえて例えるなら、Official髭男dismやマカロニえんぴつが好きなリスナーなら、Ezoshika Gourmet Clubも一発で気に入ってくれるのではないだろうか。

 Ezoshika Gourmet Clubは、栃木県出身の池澤英(Vo/Gt/Key)を中心に、松下和樹(Ba)、額田一佑(Gt)によって結成された学生バンドだ。その後、音大出身のスキルフルな守屋優樹(Dr)がサポートとして参加。ちょうど1年前、各オーディションで結果を残したのちに正式メンバーとなる。なお、池澤は現在理系の大学院生であり休学中だという。

 今年はコロナ禍であることから、彼らのライフワークであったライブ活動がままならない状況だが、そんななかでも定期的に楽曲を配信リリースしてきた。Spotifyがニューカマーアーティストをフックアップする公式プレイリスト「Early Noise Japan」や「J-Rock Now」、筆者が選曲を担当する「キラキラポップ:ジャパン」にもリストイン。知る人ぞ知るバンドとして注目度が高まるなか、満を持して10月21日に待望の1stミニアルバム『モミジノススメ』をリリースした。

 本作は、音楽シーンで注目度の高かったEzoshika Gourmet Clubによる名刺のような作品だ。現時点での代表曲といえる「東京」は、上京しても退屈に抗えず日々のモヤモヤをひっくり返そうとする逃避行ソングであり、バンドの方向性を決定づけたキラーチューン「昨日の月にさまよえば」は再レコーディングして収録されている。いい曲は他にも盛りだくさんあり、The Beatlesのようにファンの間で好きな楽曲がバラけるタイプのバンドなのかもしれない。

「東京」- Ezoshika Gourmet Club 【Music Video】

 10月に先行配信した、2曲目に収録された「猫と占いと家具屋」は、ユーモラスなエンタメ性が炸裂するポップソングながらも、楽器隊のプログレ的展開が気持ちよく感情を飛ばしてくれるアッパーチューンだ。

「猫と占いと家具屋」- Ezoshika Gourmet Club 【Music Video】

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