今なお愛され続けるNujabes作品ーーポップアップ「World Tour」主宰 日高良太郎が語る、瀬葉淳とのエピソードから企画背景まで

Nujabesポップアップ主宰インタビュー

今回の企画に関して、賛否両論あっていい

ーー今回、発売されるアイテムに関して、どのようなプロセスで進めていったのでしょうか?

日高:素材をこちらで用意して、最初に簡易的なデザインに起こしてみてまずお父さんたちに提案したんです。それこそ、Nujabesっていう存在を知らずに聴いている若い子たちってすごく多いので、逆に日本も海外も含めて、Nujabesをあまり知らない人たちがデザインだけで買う、という点も求めました。

『Nujabes“World Tour” First Collection』ロゴ

ーー今回モチーフになっている水彩画のような流麗なジャケットの数々も、当時のヒップホップ界隈では珍しく、意外性がありましたよね。

日高:瀬葉さん自身、アートワークも音楽と同じく相当こだわっていたのは明確でしたね。アートワークに関しては元々の入稿データがあったので、それを使って商品化していきました。

ーースウェットやTシャツもあれば、傘やマグカップなど、細かいラインナップになっていますが、今後もコレクションは続いていく?

日高:はい。これは最初のコレクションで、もう1コレクションを用意していて、『Metaphorical Music』の柄シャツやスケボーなどを予定しています。外部とのコラボアイテムもあって、コンピの『2nd Collection』(『Hydeout Productions 2nd Collection』)と『Modal Soul』のデザインをまとめたものも出る予定です。今後、リアル店舗のポップアップも予定していて、海外のパートナーも探しているところですね。企画自体は再来年の春くらいまでは続くと思います。

『Nujabes“World Tour” First Collection』アイテム
『Nujabes“World Tour” First Collection』アイテム

ーー現状、リアクションはいかがでしょうか?

日高:受注数の推移などを見ていると、思っていた通りというところもありますね。アメリカのHYPEBEASTなど、海外のファッションサイトも思ったより早くニュースを取り上げてくれて、改めてNujabesの人気の大きさを実感しました。理想の形としては、「あのクッションかわいいね」という理由からNujabesを知って、そこから音楽を聴いてみたら良かった、という道筋ですね。やっぱり最終的には彼の音楽を知ってもらったところに行き着いてほしい。

ーー今回は「World Tour」をテーマに選んでいます。

日高:もし瀬葉さんが生きていて、これだけNujabesの音楽が世界で話題になっていたら絶対にワールドツアーをしているはずなんですよね。だから、このポップアップ企画でワールドツアーをできたら、という思いを込めています。だから、このポップアップ企画を海外で実現する時は彼の音楽とセットでやりたいなと思っているんですよね。考えていることはすでにあって、今はどうやったら実現できるか構想中です。

 今回の企画に関して、いろんなことを言う人もいる思うし、賛否両論あっていいと思うんです。でも、もし僕も瀬葉さんの家族だったら、彼の作品をたくさんの人に長く聴いてほしいと思うのは当然だと思っています。そこで、瀬葉さんが大事にしていた世界観を崩さずに、どうやって普通の一般の層にも伝えていくかって言うことが課題で。そういう意味では、変なものは作らずにやらなきゃなと思っています。今回、フィーチャーしているのも瀬葉さんが生きていた時にリリースされた4作品だけにしてるんですよ。彼自身がアートワークに関わってきたものに限定している。

そして、今回は受注生産にして余剰分を作らないようにしています。以前、瀬葉さんがリリースするCDをプラスチックから紙を使用したデジパックという仕様に変えたことがあるんですが、それも“廃棄プラスチックをなくそう”という理由からだったんです。そういう環境へのマインドも、彼はもともと持ち合わせていたので。

ーー今も忘れられない、Nujabesさんの印象的なエピソードはありますか?

日高:とにかく、こだわってものを作るっていう話はよくしていましたね。マスタリングも何回も何回も行って、音源を車の中やいろんなシチュエーションで聞いて、またマスタリングに行って仕上げる、みたいな。アートワークもそうだし、フォントに至るまでこだわり抜いて作る。瀬葉さんの音楽も、妥協を許さなかったからこそここまで長く愛される作品になっているんだと思います。あと印象的だったのは、彼は昔、渋谷に住んでいて、途中で鎌倉の方に引っ越したんですよ。家も構えて、スタジオもそこに併設していた。ある時、鎌倉の瀬葉さんから電話がかかってきて、「渋谷に住んでいた時、コンクリートジャングルの中にいて、ここからエスケープしたいという思いでああ言った音楽が生まれていた。鎌倉に引っ越しちゃうと、海や自然がそばにあってのんびりしているから、ああいうサウンドが出てこないんだよ」って言っていて。これまで、ないものを求めて制作をしていたのに、それが満たされると逆に出てこないんだなって思った記憶がありますね。

ーー確かに、当時、私もNujabesさんが作るサウンドは非常に都会的なヒップホップサウンドだと思って聴いていました。ちなみに、今の時代にNujabesさんが生きていたら、と考えることはありますか?

日高:生きていたら、どうなっていたんですかね? 想像もつかないですけど、彼の音楽はアニメとも相性が良かったので、もっと面白いものが生まれていたかもと思いますね。久石譲さんと一緒に何かやろう、という話もあってユニバーサルミュージックに通ったこともありましたし。

お父さんから聞いた話なのですが、彼が言っていた理想形として、戦争が起こっている場所にNujabesの音楽が流れた瞬間、パッとその手が止まるーーそんなことをやれたらいいなと言っていたみたいで。そんな思いもあったから、リリックにもすごく拘っていたはずです。チージー(註:安っぽい)なことを言うラッパーとは絶対に曲を作らなかった。メッセージは徹底していたはずです。なので、僕たちも残された音楽を使って、彼のメッセージを届けることができたらと思います。

■ポップアップ概要
Nujabesオフィシャルポップアップ
『Nujabes“World Tour” First Collection』
2020年10月2日(金)よりオフィシャルサイトにてスタート

『Nujabes “World Tour” First Collection』非売品ポスター2タイプ:各1名様にプレゼント

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