Rin音とのコラボも話題の19歳シンガーソングライター asmi　1stアルバム『bond』を語る人生初インタビュー

文・取材＝黒田隆憲、写真＝山口こすも

「高校卒業やいろんな人との出会いをギュッと詰め込んだアルバム」

ーー全体的には「孤独」についてやasmiさん自身の「死生観」を歌った曲が多い印象です。例えば「anpan」では、〈今夜はひとりで踊りたい　踊らせて死にたくなってた丁度〉と歌っていて。先日はTwitterでも「離せない大切なものが増えて前より死にたいと強く思えなくなった」と呟いていましたよね。

離せない大切なものが増えて前より死にたいと強く思えなくなった私にとって逃げ場がなくなることは死ぬことよりこわい死ねないのに恐怖だけ強まった愛は私を困らせる🤔

— asmi (@asmi__official) July 24, 2020

asmi：「孤独だな」「死にたいな」みたいな感覚は高校生の頃からあるんですけど、そういうモードの時の方がいい曲が書ける気がしていて。ただ、そんなに深刻に考えているわけでもないんです。「軽く生きてる」というか……（笑）。ただ「いつ死んでもいい」とは思っていますね。常に満足しているし。

ーーでも、まだまだやりたいことや、やり残したことってたくさんあるでしょう？

asmi：いやあ、あと70年も生きるとか長過ぎますよ。

ーーあははは！

asmi：なんていうか、自由に生きていたいと思うんですよ。「めちゃくちゃしんどいのに頑張って生きる意味はないよ、自分の人生なのに」って。友達にもすぐ「死にたい」とか言うんで「死なんといてや～」って言われます。いや、死なないですけどね。

asmi - anpan (Official Music Video)

ーーでは、asmiさんの孤独感はどこから来ているのでしょう。

asmi：どこから来てるんやろ。ただ単に寂しがり屋っていうのもあると思うんですけど……。あ、そういえば私が中3の時にお姉ちゃんが上京したのは大きかったかもしれないですね。その時はものすごく寂しかった。それと、去年の5月にめっちゃ大きな失恋をしたんですよ。それまで失恋という失恋はしたことがなかっただけに、その時は電車に乗っていても泣いたり、学校へ行っても涙が出てきたりして。曲を書き始めたのも、その失恋があったからなんですよね。この気持ちを曲にすれば「失恋してよかった」と思えるんじゃないかなって。

ーー「lemon tea」は、本作で最もポジティブな曲だと思いました。童謡「こいのぼり」のメロディを引用しつつ〈屋根より高いこの思い〉と歌うなど、遊び心もたっぷりですよね。

asmi：この曲は、コロナでずっと家にこもっていたときに書きました。人に会わなければならないストレスが減ったからこそ、あんなポジティブな曲になったのかもしれないですね（笑）。他の曲はどれもコロナになる前、人との関係性やそこで生じたストレスに晒されながら書いたので。

asmi - Lemon tea(Official Lyric Video)

ーー「cream soda」は、クリームとソーダの「混じり合うようで混じり合わない感じ」が、分かり合えない男女を表しているのかなと思ったんですけど。

asmi：おお、そこまでは考えてなかったです（笑）。この曲は、「F」という名義で活動している好きな作家さんのインスタストーリーにインスパイアされて書きました。質問箱の「今まで言われた言葉で一番印象的なのは？」みたいな投稿に「『クリームソーダがキレイだという心を忘れないでね』と国語の先生に言われました」と答えていて。それがめっちゃ響いたんですよね。そこから歌詞を広げていったんです。

asmi - cream soda (Official Animation Video)

ーー「last」は“断ち切れない思い”について歌ってるのかなと思ったのですが、〈これまでの私は今の私に少し悲しくなると思う〉というラインはどうやって生まれたのでしょうか。

asmi：去年の秋に、失恋とは別に大きな挫折をしたんです。それは、シンプルに友人関係が上手くいかなかったことが原因なんですけど。で、そのときに学校の先生から「人との接し方みたいなことを根本から改めないとダメだ」と言われたんですよね。「人からもらう愛にもちゃんと気づけてないし、お前にも愛がないから上手くいかんねんで？」って。

ーーなかなか厳しいことを言う先生だったんですね（笑）。

asmi：でも、そこから愛について、いろいろ考えるようになりました。見返りを求めない「無償の愛」が大事だなって。したくもないことを「してあげた」ではなく、自分から「したい」と思うことをすればいいし、相手からしてもらったことには、いっぱいいっぱい感謝しなきゃアカンと思っています。

ーー改めて、1stアルバム『bond』が完成した今の心境を聞かせてもらえますか？

asmi：去年の7月から曲を書き始めて、この1年の間に高校を卒業したり、いろんな人に出会って新たな気持ちを知ったり、そういうこと全てをギュッと詰め込んだアルバムになりました。自分のCDを作るのは初めての経験だったし、こんなにたくさん曲を書いたこともなかったし、でき上がってただ感動している状況ですね（笑）。そして、Rin音くんとの共演をきっかけに、私のことを知ってくれた人たち、もちろんその前からずっと応援してくれてた人たちに、新しい作品を届けることができて嬉しい気持ちでいっぱいです。

ーー今後、どんなアーティストを目指しますか？

asmi：もうすぐ二十歳になるし、これからもっと表現の幅を広げていきたい。まだまだ書きたい歌詞やメロディがたくさんあるから、それを今後もどんどん追求していきたいと思っています。