「Night D」インタビュー
eill×森田望智、同世代の二人が語る表現への思い それぞれのルーツや共通点も探る
森田望智が主演するFODオリジナルホラードラマ『あの子が生まれる・・・』の主題歌に起用されたeill(エイル)の「Night D(ナイトドライブ)」が配信リリースされた。
15歳からジャズバーで歌い始め、19歳の時にシングル『MAKUAKE』でデビューした現在22歳の新世代シンガーソングライター・eillと、15歳の時に「栄光ゼミナール」のCMでデビューし女優として活動スタート、昨年、Netflixで世界配信されたドラマ『全裸監督』で大きな注目を浴びた、23歳の森田。ドラマに続き、ミュージックビデオでもコラボレーションを果たすことになった同世代の表現者である二人の共通点を探った。(永堀アツオ)【記事最後に読者プレゼント情報あり】
今は自分が超えないといけない壁を登っていっている最中(eill)
ーーお二人は本日が初対面ですよね。会う前はどんなイメージを持ってました?
eill:作品を見ていると、すごく凛とした感じの方なのかなと思ったんですけど……。
森田望智(以下、森田)ふふふふ。けど……?
eill:いや、もちろん凛としてるんですけど、柔らかいというか。ふわふわしたオーラがあって。可愛らしい方だなと感じました。
森田:ありがとうございます。私も同じです。最初に初めて聴いたような声質だなって感じて。一回聴いたら頭から離れないような力強さを感じていたので、私と同年代であんなに力強い声が出せるんだって思っていたんですね。でも、会ってみたら普通の女の子でギャップを感じましたし、内面に何かが詰まっているのかなって想像しています。
ーー今、同年代という話がありましたが、それぞれどんな学生生活を送っていたのか聞いてもいいですか。お二人の共通点や、ルーツを探りたいなと思ってます。
森田:実は私、全然音楽を聴いてこなかったんですよ。本当に詳しくなくて、でも、遠い世界だからこその憧れはあります。生まれ変わったら歌手になれたら素敵だなって思うくらい、夢を感じる職業だとずっと思っています。私は歌が得意ではないので、単純に羨ましいですし、自分が持っているものを作品にして伝えることができる、すごく素敵な職業だなと思います。
eill:元々私も歌は上手くなかったんですよ。中学3年生の時に少女時代やKARAが流行っていて、そこでK-POPが大好きになったんですね。
森田:“ペンギンダンス”とかですよね! 学生の時は周りにアイドルが好きな子たちが多かったんですよ。
eill:そこから自分もK-POPの歌手のようになりたいって思い始めたのがきっかけだったんですけど、映画『ドリームガールズ』を観て、衝撃を受けて。ビヨンセが「Listen」という曲で、“私の歌を聴いて。私の本当の心の中をあなたに見せてあげる”って歌うんですけど、そこで音楽の力を感じて。音楽ができることは大きいんだなって初めて知って、私もこういう風になりたいと思って、まずは「Listen」を聴きながら音程を取る練習を始めたんですね。
ーー森田さんが女優に興味を持ったのは?
森田:小学校5年生の時にスカウトで入りました。当時は学業優先で、学校生活の方が大きかったですね。平日は学校に行って、お休みの日にレッスンを受けるっていう感じだったんですけどーー私も中学3年生くらいの時かな? 韓国映画『オアシス』を観て、こんな世界があるんだって漠然と思って。まだ現場にもあまり行けてなかったので、世界にはこんなすごい人がいるんだなって思った時に、どんどんお芝居が好きになっていきましたね。私もそこに行きたいなって感じて。
ーー韓国カルチャー好きというのが共通点の1つですね。韓国には行きましたか?
森田:五回くらい行きましたね。
eill:どこに行ったんですか?
森田:王道なところだと、釜山。釜山には最初は二十歳の時にプライベートで『釜山国際映画祭』を観に行ったんですよ。そのあと、去年の10月にドラマ『全裸監督』で参加できて。
eill:すごい。それ、めっちゃ嬉しくないですか?
森田:そうですね。3年前に観客として見ていた授賞式の舞台に自分が立てたのは、すごく嬉しかったです。
ーーeillさんも韓国のガールズグループ、EXIDに楽曲提供していましたよね。
eill:楽曲提供できたのはもちろん嬉しかったですし、達成感もありました。中3の時に、歌手になりたいけど、どうしていいか分からないって悩んでいた自分に教えてあげたいですけど、それよりも次に、自分が超えないといけない壁がどんどん出てきて。それって嬉しいことなんだけど、今、どんどん登っていっている最中だなと思います。
森田:音楽を生み出せる人とか、脚本を書ける人ってほんとにすごいと思います。私にとっては本当に未知の世界。
ーーでも、最終的にカメラの前に立って表現するのは森田さんですよね。
森田:そうですね。でも、監督が表現したいものについていくという形だから、歌詞を書いたり、曲を書いたり、自分からオリジナルなものを作るということにあまり関わってきてないなと思います。だからeillさんのように、0から何かを生み出すのがほんとにすごいなって思います。
eill:私が曲を作る時は必ず何かモチーフのようなものがあるんですよ。例えば、今、目の前にあるお水に対しての曲を作るとか。それに、生きていて嬉しいとか、楽しいって感じることって、0から生み出していることと一緒なんじゃないかなって思いますけどね。
ーーでは、日々、生きている中でどんなことに嬉しさを感じますか。
森田:台本を最初に開く時は、この世で一番嬉しかったりしますね。
ーープライベートじゃなく、仕事の方なんですね。
森田:あはははは。そうなんですよ。プライベート=お仕事になっちゃってますね。あんまり別っていう感じがないですね。
eill:本当にストイックですね。私は、プレゼントとか、何かをもらった時かな(笑)。あとは、聴いてくれる人の声に背中を押されますね。最近だと、誕生日プレゼントにもらった手紙が嬉しくて。今も、枕の下に入れてあって。辛い時は読んだりしてます。……今、森田さんに大丈夫? みたいな目で心配されている!
森田:いや、したことないなって思って。ふやふやにならないのかな。今、梅雨だし……。
ーー(笑)。少し戻って、高校卒業後の活動について伺えますか。10代後半はどんな日々でしたか。
eill:19歳の時に自分で生み出した曲でデビューできたのですが、それまではデビューする準備をしていました。最初はなかなか自分のやりたいことができなかったですね。自分で曲を書かせてもらえなかったし、納得いかない作品が続いていてその頃は毎日、かなり悶々としてましたね。嫌だとも言えずに、でも、変えることもできずに、悩んでいました。
森田:私は高校を卒業してからは大学に行きつつ、ようやくお仕事ができる時が来たっていう4年間でしたね。ここからだという思いでオーディションを受けていて。最初の頃は落ちてばかりだったんですけど、めげてなかったですね。ずっと、頑張ろう!、頑張ろう! っていう時期でした。
ーーどうしてめげなかったんでしょうか。
森田:うーん、ずっとフィギュアスケートをやっていたんですけど、人前に立って、何かを表現してる人を見るのも、やるのも好きだったんですね。その根本があるので、お仕事を始めてみて、楽しくなって。今は……楽しいことはもちろんありますけど、苦しいことを含めて楽しいんですよね。ただ単純に楽しい時期は過ぎましたね。でもそう思えるのも色々経験させて頂けているからこそです。
eill:全く同じ気持ちです! 自分が夢を見ていた世界は、思い描いていた通りなわけはなくて。そこにはやっぱり、突然にやってくる試練もある。そういうのも含めて自分がやりたいことなんだなってわかった時に、自分が憧れていた人って「マジですごい!」って思うようになりました。