eill×森田望智、同世代の二人が語る表現への思い それぞれのルーツや共通点も探る

eill×森田望智、同世代対談

(「Night D」の)レトロな感じとホラーの薄気味悪い感じが少し似ている(森田)

ーーそろそろドラマと主題歌の話に移りたいと思いますが、まず、それぞれドラマの主題歌と初主演のオファーを受けた時の心境から聞かせてください。

eill:もともと、「Night D」は夏に向けて作っていた、疾走感のあるドライブソングだったんですよ。でもホラードラマのオファーをいただいた時に聞き返してみたら、イントロの感じがホラーに合うかもって思って。この曲は何か言いたいことが強くある曲ではなくて、香水みたいに纏って欲しい曲だったので、ある意味、この曲にマッチする場所ができて、すごく光栄でした。

森田:私はびっくりしたのと嬉しかったのと、半分半分でした。ただ、今回は周りが個性的でパワーのある方ばかりだったので、あまり自分から何かをするというよりも、受け止めるという感覚が近いかなと思います。

ーー脚本を読んでどう感じましたた?

森田:ホラーが苦手なので、朝の7時とか8時とか、一番お化けが出なそうな時間に読んでいました(笑)。一気に読まずに、3日間くらいかけて読みましたね。本当に脚本を開くのが億劫になるくらい怖かったです(笑)。

ーーあははは。台本を読む瞬間が一番嬉しいのに。

森田:苦手なことも、素敵って思うタイプではあります(笑)。それに、私がすごく怖がりだからこそ、見ている人も一緒に怖がってもらえるという意味ではいいかもしれないってプラスに捉えてますね。あとは、自分がやる役はあまり台詞がないので、リアクションが大事になってくるなって思いましたし、周りで起こっていく状況に面白みがあるなって感じてました。

eill:私もホラー苦手なんですよ。昨日の夜、台本をもう一回読んできたので、さっきトイレの電気がチカチカしてるのを見ただけで怖くなっちゃって。でも、このドラマは最初はお化け的な怖さじゃなくて、生きている人間とか、複雑な関係性が怖いじゃないですか。そう思って読んでいたら、後半はめちゃめちゃ人形が出てきて……。

森田:あの人形、後頭部が取れるんですよ。英子役の小倉優香ちゃんが持ってる時にぽろっと落ちたりして。その度に現場では「うわぁ……」ってなってました。

eill:あははは。怖かったですけど、続きが見たくなるなっていう面白さがありましたね。

森田:そうですね。やっぱり10話通して、1つの作品として考えているので、全話を通して最後まで観ていただきたいです。後半にかけてより一層、謎が暴かれていくように作られているし、最終的にいろんな謎が繋がっていく気持ちよさを楽しんでもらえたらいいなと思ってます。

ーー森田さんは主題歌「Night D」を聞いてどう感じました?

森田:ちょっとレトロな感じと、ホラーの薄気味悪い感じが、全く別物のようでちょっと似ているのかなって思って。ホラーはドロドロしているイメージがありますが、この曲はカッコいいですし。垢抜けて、疾走感のある早いテンポが意外で、逆に素敵だなって思いました。

eill:ありがとうございます。エンディングで流れているのを見て、私も「合ってるんじゃない?」と思いました(笑)。思ったよりもマッチしててびっくりして。イントロも不気味なイメージで作ったつもりはなかったんですけど、ボワ~ンみたいな感じが、サスペンスっぽくて良かったなと思いました。あと、「Night  D」はドライブソングと言っていますけど、ドラマが終わった後に流れることで、怖いとか、逃げたいっていう感情から解放されたい時にもこの楽曲が寄り添えたらなって思いましたね。

ーー目の前の現実から逃げ出したいって思うことはありますか?

森田:まだないですね、私は。そんなに息苦しく生きていないタイプ。あんまりため込んではいないかなって思います。

eill:私は逃げたいこともあります。ほとんど曲作りですね。それしか悩んでない。大体、曲ができない、歌詞が書けないで悩んでて。それ以外はあんまり悩まないです。

ーー悩んだときはどうしますか?

eill:それこそ私はドライブしながら泣いてたりしますね。友達はいつものことなので、また泣いてるって感じだと思うんですけど。何にも考えないでいられる場所というか。空を見ていて、急に泣いてることとかあります。

森田:私も毎日、泣いてはいると思います。脚本を読んだりとか、感情を作る練習をしたりとか。あとは、ドラマとか映画を見ても泣くし。最近だと、フランスのミュージカル映画『レ・ミゼラブル』とか、HIKARI監督の映画『37seconds』でも泣きましたし、割と泣いてない日はないと思いますね。ふふふふふ。

eill:えー!

森田:感情を爆発させることが多い暗い役だったりすると、毎日、泣いています。

ーーちなみにお休みの日は何をされてます?

森田:私はやっぱり映画を見たりですね。お仕事とつながっちゃうかもしれないですけど、それが一番多いです。

eill:友達にドライブに連れて行ってもらったりとか。自分で免許を持っていないので(笑)、ドライブがしたくなったら友達を呼んで、ご飯を食べに行ったりとかしていて。だから、この曲を作るときもよく夜のドライブに連れてってもらってました。

ーーeillさんにとって友達はなくてはならない存在なんですね。

eill:そうですね。もともと高校に通いながら音楽学校に通っていたんですけど、音楽学校には、高校を卒業した年上の人たちがいて。高校には同い年の友達がいて、その二面性の自分を行ったり来たりしながら、たくさん悩んでいました。当時から、ほんとに仲のいい友達は6人くらいしかいなくて、あとはほぼライバルだって感じていたかも。

森田:私は多くはないですが、本当に友達と呼べるのは、今も4人くらいしかいないですね。私、お仕事に集中してしまうタイプなので、あまり会っていないんですよ。だから、たまに会える時に、やっと息抜きができる場所みたいな感じになってますね。

eill:私も友達は少ないと思うんですけど、仲のいい友達とは結構な頻度で会わないと情緒が不安定になってしまいますね。すぐに電話もしちゃうし。いつも、神頼みみたいな感じになってます。

森田:悩みも友達に相談する?

eill:よくしちゃうんですよ、私。

森田:私は誰にも言えなかったりして、一人で解決するタイプだから、言える人が羨ましいなと思います。

eill:でも、友達には毎回、「私が何を言っても、結局は自分でどうにかするんでしょ」って言われます。ただ、そこでバーって話す時間が必要なんですよね。

森田:それはいいことだと思います。

ーーホラーが苦手な主演女優と免許を持っていない主題歌シンガーであることが判明したわけですが(笑)、今回、「Night D」のMVにも森田さんが出演することになったんですよね。

eill:そうなんですよ。最初に映像のラフスケッチもらった時に、演技があって。今までのMVは全部、自分で出ていたんですけど、これは森田さんにやっていただけたら最高、とオファーをさせてもらったら、快く引き受けていただいたので、よかったです。

森田:これから撮影なので、頑張ります!

eill:初めて役者さんに出演していただくMVなのでとっても楽しみです。

森田:MVでは、ドラマで演じた奈緒とは完全に切り離して演じていて。奈緒は自分を責めているタイプだと思っているんですね。でも、このMVの主人公は自分に対してではなく、他人に対して何かを向ける。その衝動を意識しながら演じようと思いますし、MVも最後まで観て欲しいなって思います。

ーー最後にお二人でこれから一緒にやってみたいことは。

eill:まずは普通にお茶してみたいです。

森田:ぜひ! 行きましょう。

eill:あと、私、森田さんがすごく頑張る主人公の役をやっているのも見たいです。周りに虐げられても、私は絶対に負けない! っていうポジティブな森田さん。

森田:初めて言われました!

eill:演技を見ていて、ちょっと陰を感じるんですよね。それが魅力だなと思っていて。今日も、すごく柔らかくて自然体だけれども、どこかに陰りを感じる。だからこそ、どんな女性なのかもっと知りたくなるし、そういう役も見たいなと思います。

森田:eillさんにはJ-POPの決まりに沿っていない、洋楽のような曲をもっと歌って欲しいです。本当に音楽が不得意な私が言うのも恐縮なんですが、歌声が本当に素敵だし、何にもとらわれてない自由な感じが似合うなと思います。

eill:歌います! 楽しみにしていてください(笑)。

■eill(えいる)
シンガーソングライター
1998年生まれ、東京出身。2018年6月、デビューシングル『MAKUAKE』、同年10月にミニアルバム『MAKUAKE』リリース。19年11月、1stアルバム『SPOTLIGHT』リリース。収録曲「SPOTLIGHT」がラジオ・オンエアチャート2週連続1位に。韓国の人気5人組ガールズグループEXIDやNEWSに楽曲を提供しているほか、シンガーとして、m-flo、人気ラッパーのSKY-HIなどとフィーチャリング曲を発表するなど、新世代を代表するアーティストとして注目を集めている。また現在、20年7月にリリースした『ドラマ25 女子グルメバーガー部』(テレビ東京ほか)の主題歌「踊らさないで」が話題となっている。

■森田望智(もりた・みさと)
女優
1996年生まれ、神奈川県出身。2011年に女優デビュー。主な出演作に、映画『友達』(2013年)、『一週間フレンズ。』(2017年)、『世界でいちばん長い写真』(2018年)、ドラマ『パパ活』(2017年)、『これは経費で落ちません!』(2019年)、『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』(2020年)、『全裸監督』(2019年)など。第24回釜山国際映画祭「アジアコンテンツアワード」で最優秀新人賞を受賞。2020年7月18日配信開始のFODドラマ『あの子が生まれる・・・』で初主演。9月27日より放送のNHK BSプレミアム『一億円のさようなら』に出演。

■リリース情報
eill 「Night D」
Digital
FODドラマ『あの子が生まれる・・・』主題歌
『あの子が生まれる・・・』公式サイト

eill | Night D (Official Music Video)
eill|Night D(MV Making Video)
eill公式サイト

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