0.1gの誤算、豊洲PITワンマンから感じた配信とは異なる生の醍醐味 コロナ禍における“有観客ライブ”成功例の一つに
ちなみに8月中に豊洲PITで有観客ライブを行なったのは、現時点で0.1gの誤算のみ。そのため、会場スタッフや制作スタッフが以前のようにライブに携わるのも、かなり久しぶりだったという。それだけに、この日はスタッフの表情もどこかイキイキしているようだった。大きな機材を前に真剣な眼差しでステージを見つめる音響スタッフが、ふとした瞬間に身体でリズムを取りながら柔らかな表情を浮かべる場面も垣間見えた。生のライブは、メンバーや観客たちだけでなく音楽を生業とする裏方のスタッフにとっても、かけがえのない場所だったのだと実感した瞬間であった。
賛否両論が叫ばれる中で“有観客ライブ”という選択肢を選んだ彼ら。豊洲PITという大箱でガイドラインを順守しながらも、これまで以上の熱いライブを繰り広げ、生ライブの醍醐味を見せつけた。これは、コロナ禍における有観客ライブの成功例の一つといっても過言ではないだろう。そしてこの第一歩が、この先の音楽シーンに良い影響を与えることを願っている。
■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。