Official髭男dism、1時間に及ぶ『ヒゲダンフェス』ライブさながらのパフォーマンス バンドの深い魅力が伝わる企画に
「1時間まるごと渡すので好きなようにライブを作って欲しい」という前代未聞のオファーにOfficial髭男dismのメンバーは苦笑いで驚いていた。それも当然だろう。ゴールデンタイムの地上波で放送する音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)からのオファーなのだから。「やらせてもらえることは嬉しいですけど現実感はないですね」と語るボーカルの藤原聡。「ドッキリを仕掛けられているみたい」とギターの小笹大輔は笑う。しかしオファーを承諾するヒゲダン。ライブテーマも“お茶の間に伝えるヒゲダンの熱”と決めていた。「座って見てても心にぐっと来て一緒に歌ってもらったり、汗をかけるようなライブにできたらいいなと思います」と藤原は語る。
ライブを行うことになった経緯や意気込みを伝えるVTRが終わり、いよいよ約1時間に渡る『ヒゲダンフェス』が始まる。始まった瞬間に「テレビ収録ではなくライブだ」と改めて感じた。通常のテレビ番組ならばすぐに演奏が始まるが、メンバーが楽器の前に立ち準備をする様子も映る。ライブ開始直後と同じ緊張感が伝わってきた。
1曲目は最新作より「HELLO」。オファーを受けたときに苦笑いしていたことが嘘のように、自信に溢れた力強い歌声と演奏。ヒット曲に頼ってオープニングから盛り上げるのではなく、最新曲で盛り上げる。どれほどヒット曲があっても最新のバンドの姿を見せたいのかもしれない。
同じく今年リリースの新曲「パラボラ」を2曲目に続ける。安定した演奏でしっかりと聴かせた。1時間という枠だからこそ、じわじわと胸に沁み入るような演奏で惹きつける。〈眩い光 放ってみせるよ いつかきっと〉という歌詞を表現するかのように、バックスクリーンには光が弾けて飛び散るような映像が流れる。演出でも楽曲を魅力的に彩っていた。
「貴重な機会をいただきありがとうございます。短い時間ですが……いや今日は短くないですね」と藤原は笑いながら挨拶をして、丁寧にピアノを弾きながら歌い始める。1stフルアルバム収録の「115万キロのフィルム」だ。トランペットやパーカッションなどサポートメンバーの演奏も加わり、さらに華やかな演奏を響かせる。バックスクリーンには演奏中のメンバーの顔が映っていた。映像演出からはアリーナでのライブを彷彿とさせる。後半に花束の映像が映った理由は、結婚式の定番ソングとして使われることが多い楽曲だからだろうか。ファンの心をつかむ粋な演出である。