カーリー・レイ・ジェプセンがポップミュージックにおいて“最も愛される存在”に至るまで その奇妙なキャリアと作家性に迫る
もちろん、カーリー・レイ・ジェプセンはシンガーソングライターとしても変化をつづけている。2019年より展開された『Dedicated』プロジェクトは、「Call Me Maybe」以来ワーカーホリック状態だった彼女がはじめて本格的な休養をとり、同時に破局を経験して旅に出た時期に本格的な制作が始まっている。そのためか、これまでより落ち着いたポップサウンドに着地しているのだ。
新たな地平に立ってみせた彼女は「ポップミュージックにおいて最も愛される負け犬」とも呼ばれる自身のキャリアについて、満足げに語る。「私が愛する音楽やつながりをわかってくれる、小規模で力強いグループがいてくれた方がいい。「Call Me Maybe」をまたやるよりね」。興味深いのは、「ロサンゼルス」観にも変化が起こったことだ。同プロジェクトの完結編『Dedicated Side B』において終幕を飾るドリーミィなラブソングには、こんなタイトルがつけられている。「Now I Don't Hate California After All」=「何だかんだ言って、今はカリフォルニアが嫌いじゃない」。ポップスタービジネスに染まらずに信念を守り抜き、真に理解しあうファンダムを築いて成長をつづけたカーリー・レイ・ジェプセンは、ついに「ロサンゼルス」をも愛せるようになったのだ。彼女のことを「負け犬」と思う人はもういないだろう。『Dedicated Side B』は、確かにそう思わせてくれるアルバムだ。
■辰巳JUNK
ポップカルチャー・ウォッチャー。主にアメリカ周辺のセレブリティ、音楽、映画、ドラマなど。 雑誌『GINZA』、webメディア等で執筆。
■リリース情報
カーリー・レイ・ジェプセン
『デディケイティッド・サイドB』
日本盤:14曲収録、歌詞対訳付
¥2,000(税抜):UICS-1363
日本盤ボーナストラック2曲収録
アルバム試聴・購入はこちら
<トラックリスト>
1. ディス・ラヴ・イズント・クレイジー
2. ウィンドウ
3. フェルト・ディス・ウェイ
4. ステイ・アウェイ
5. ディス・イズ・ホワット・ゼイ・セイ
6. ハートビート
7. サマー・ラヴ
8. フェイク・モナ・リザ
9. レッツ・ソート・ザ・ホール・シング・アウト
10. カムバック feat. ブリーチャーズ
11. ソロ
12. ナウ・アイ・ドント・ヘイト・カリフォルニア・アフター・オール
*日本盤限定ボーナストラック*
13. レッツ・ビー・フレンズ
14. オールウェイズ・オン・マイ・マイン
カーリー・レイ・ジェプセン 日本公式サイト
カーリー・レイ・ジェプセン 日本公式LINE:@carlyraejepsen