ひらめ、りりあ。、まいきち、まつり……次世代女性シンガーの登竜門になりつつあるTikTok人気

 新型コロナウイルスが猛威を振るい、エンタメ業界も大打撃を受けた2020年上半期。流行先取りメディア「Petrel」は先月19日、そんな上半期にInstagramで流行したワードを発表。「密です」や「おうち時間」などのコロナ禍の時代らしいワードや、若者を中心にSNSで使用される「ぴえん」などに並び、「きゅんです」という気になるワードが7位にランクインした。この「きゅんです」という言葉は、アーティストたちにとって現在欠かせない活動の場となっている配信プラットフォーム・TikTokから生まれたものだ。

〈ポケットからきゅんです/え、何落としたのきゅんです/君がくれたきゅんです/でも君にあげられなくてシュンです〉

 〈きゅんです〉という歌詞に合わせて、人差し指と親指を交差したハートマークをつくり、〈シュンです〉で人差し指を下に向ける。この一連の流れを映した動画が、6月頃からTikTok上で大流行。人気TikTokerはもちろん、ディーン・フジオカやTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEなどもこぞって「#きゅんです」をつけて投稿している。元ネタはカップルインフルエンサー・夜のひと笑い。彼らが5月5日にTikTokで投稿した動画を基に、ひらめという女性アーティストが「きゅんです!のうた。」としてオリジナルソングを制作、瞬く間に話題となった。彼女が同楽曲を公開したのが6月8日。それから約1カ月で478万回、先日9日フルバージョンとしてYouTubeで公開された「ポケットからきゅんです!」もすでに7000回以上(7月11日時点)再生されている。ひらめは『めざましテレビ』(フジテレビ系)が10~20代100人に調査した“次にブレイクする楽曲”で名前が挙がり、7月10日の放送に出演した。未所属で年齢や出身も非公開、顔出しすらしていないにもかからず、若者に人気のアーティストとして名を轟かせているひらめ。実は現在、TikTokは彼女のような次世代女性シンガーの登竜門となりつつある。

ポケットからきゅんです! ひらめ🐠

 例えば、りりあ。という人気TikToker。彼女は昨年TikTok上で活動をスタート、カバーソングを投稿するや否や、“天使の歌声”と話題に。3月27日にYouTubeでオリジナルソングとしてアップされ、のちに「浮気されたけどまだ好きって曲。」というタイトルが付けられた楽曲は5月22日に各配信サイトでリリースされ、LINE MUSICでウィークリーチャート1位を獲得。この楽曲もTikTokのユーザーやアーティストにカバーされたり、志尊淳をはじめとする有名人の動画に使用されたことで、ますます人気が急上昇している。ひらめとりりあ。はどちらも正体が謎に包まれている上に、SNSを通して音楽を届けている点や、透明感のある歌声、10~20代の若者が共感する甘くて切ない歌詞など、共通点が多い。TikTokで話題になるには、15秒以上最大60秒という時間の中でユーザーの注目を浴びなければいけないが、彼女たちがつくる楽曲はキャッチーで耳に残る。楽曲に合わせてポーズが取りやすかったり、カバーしやすかったりと、TikTokでの汎用性に優れているのも爆発的な人気を集めている理由の一つかもしれない。

浮気されたけどまだ好きって曲。 【オリジナル】

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