Aqoursが楽曲と共に成長してきた5年 9人の“これまで”と“これから”を2020年の視点で考える
Aqoursが、6月30日にユニット結成5周年を迎えた。
この記念日を祝して、本稿では彼女たちにとってのターニングポイントといえる楽曲を厳選して紹介したい。ただし、その軌跡については以前にも振り返ったため、今回はユニットとして絶えず前進を続けてきた2020年現在の視座より、5年間で育ててきた楽曲群を見つめ直すことを前提に、それらがどのようなメッセージを放つのかを考えてみたい(参考:Aqoursの中心にある“地元愛”の精神 結成5周年の輝きを3つのポイントから振り返る)。
まずは、2015年10月発売の1stシングル曲「君のこころは輝いてるかい?」から、メンバーのパフォーマンス能力の向上について見ていきたい。ユニットとしての“初心忘れるべからず”という想いを音楽にしたような、彼女たちの“輝き”の原点が詰まった同楽曲だが、以前のステージと見比べてどうだろうか。発表当時こそ、斉藤朱夏(渡辺曜役)による曲中での馬跳びなどはすでに高い完成度を誇りつつも、ここ最近では全員が確かなスタミナを身に付け、ハツラツとした笑顔で歌とダンスを難なく両立している印象がある。斉藤の跳躍力にもさらに磨きが掛かるなど、キャストによる努力の結晶を再認識できる一曲だ。
また、TVアニメシリーズ『ラブライブ!サンシャイン!!』(TOKYO MX)挿入歌にも、放送当時と比べてユニットの進化を感じる部分が大いにある。そもそも同アニメの内容を簡潔に述べるならば、メンバー9名が過去から引きずってきた心の痛手や、過去の経験からコンプレックス的に生まれた感情を時に正面からぶつけ合うことで、一人の少女、そしてユニットとして強くなるといった物語だ。
その上で、3年生メンバーがスクールアイドル活動に再び向き合うきっかけとなった「未熟DREAMER」などは、たしかにアニメ内のワントピックに焦点を向けたものである。しかし、キャストが時を経た今でも、ライブの際にステージ上で交わす些細な笑顔の交換などからは、大好きなメンバーとこれからも切磋琢磨できる喜びを共有しているような雰囲気を読み取れるだろう。いわば、楽曲自身の当初のスケールを超えて、そこにはさらなる意味が見い出だされ、時間の流れとともにメンバーの絆が深まる過程を色濃く映し出してくれるのだ。
あわせて、2018年11月に東京ドームにて開催した4thライブでは「想いよひとつになれ」を披露。ここでは、それまで一貫してアニメや楽曲MVの光景を忠実に再現してきたキャスト陣が、そのストーリーにはない、独自の展開をパフォーマンスに盛り込んだ。これもまた、ユニットとして今後の表現の可能性を無限に広げる上で特筆すべきワンシーンといえる。
そんなAqoursは結成以来、合言葉に「0から1へ!」を掲げて邁進してきたわけだが、TVアニメ第2期12話の挿入歌「WATER BLUE NEW WORLD」など、ここ数年の楽曲には、今日までの歩みを懐かしむような描写が増えてきている。アニメ同話でメンバーが発した「1からその先へ!」という言葉を借りれば、彼女たちはかけがえない“1”の輝きを、もう10にも100にも1000にも大きくさせられる存在となったのだ。