sora tob sakanaの解散を惜しむーーアイドルとしての特異性、メンバーに寄り添い進化を続けたクリエイティブ

sora tob sakana『deep blue』(通常盤)

 5月22日、アイドルグループ・sora tob sakana(略称はオサカナ)が、9月6日に日本青年館で開催されるワンマンライブをもって解散することを発表した。公式サイトには、その理由について「昨年末よりメンバーそれぞれと今後のsora tob sakanaのあり方について話し合いを重ねて参りました。その結果、グループとしての活動を終了しそれぞれが新たな道を歩んで行くという結論を出すこととなりました」と掲載されている。

 解散まで残り2カ月となったオサカナの、アイドルとしての特異性について、今一度考えてみたい。

難解なポストロックと、少女期の只中にいるメンバーとの化学反応

 sora tob sakanaは、2014年7月にFlying Penguin Records(Zi:zoo)とテアトルアカデミーによる「ふらっぺidolぷろじぇくと」の第2弾ユニットとして結成されたグループ。ポストロック、エレクトロニカを基調とした音楽性が特徴で、音楽プロデュースは2015年から照井順政(ハイスイノナサ、siraph)が手掛け、ほぼ全ての楽曲を提供している。照井擁するバンド・ハイスイノナサは、ポストロックのアーティストが多数集う<残響レコード>に所属している。残響レコードは、te’のギタリストである河野章宏が代表をつとめ、かつて9mm Parabellum Bulletや雨のパレードも所属していたことがあり、音楽ファンには知られた存在のインディーズレーベルだ。Zi:zooにこの残響レコードのファンがいたことが、照井がオサカナに関わるきっかけになったという。

 オサカナ楽曲では歌詞において、少年少女の抱える葛藤や後悔についてノスタルジックに描かれることが多く、照井は過去の当連載のインタビューの中で、「(少年期やジュブナイル的なものが)すごい好きなんです。そこを描いたら絶対負けないぞ、という思いがあったんです」(ポストロック×アイドル×ジュブナイル」は何を生み出す? sora tob sakanaサウンドプロデューサー・照井順政に訊く)と語っている。そうした歌詞世界と、先鋭化されたサウンドが融合した楽曲を、実際に少女期や青春期の只中にいるメンバーが歌うことの化学反応が、オサカナの大きな魅力だった。

sora tob sakana『sora tob sakana』

 先鋭化されたサウンドと書いたが、曲自体は実に聴きやすく、見事にポップスとして昇華されている。耳の早い音楽好きからはいち早く評価され、ファン投票によりその年のアイドルの人気曲を決める「アイドル楽曲大賞2016」のアルバム部門で1stアルバム『sora tob sakana』が1位を獲得。その後グループは成長を続け、2018年5月にはワーナーブラザースジャパンからミニアルバム『alight ep』をリリース、メジャーデビューを果たした。さらに同年7月には1stシングル『New Stranger』をリリース。同曲はテレビアニメ『ハイスコアガール』のオープニングテーマとなり、アイドルファンだけでなく、アニメファン層への認知度も向上させた。楽曲はこれまでの音楽性を踏まえつつ、アニメのテーマに沿ってゲームミュージックやチップチューン的な要素が加味され、オサカナの新境地といえる仕上がりとなった。

sora tob sakana/New Stranger(Full)

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