TWICEが抱く、表現者であることの“孤独”と“喜び” これからへの道筋も示されたドキュメンタリー最終回

 休養期間を経たミナが初めてファンの前に姿を現した昨年のファンミーティングの場で、チェヨンが語ったコメントが印象に残っている。

「私たちにとって、私たち自身のことを表現して伝えることはとても難しいことですし、それはどんなに長い手紙を書いても伝えることが出来ないと思います。私たちはステージやパフォーマンスを通してしか、私たちのことを伝えることが出来ません。なぜなら、それが私たちの務めだから」

 その言葉通り、デビューからちょうど4周年を数える日に行われた同イベントにおける、9人の完全体で披露された「Feel Special」のパフォーマンスは、自らの孤独を抱えたままそれでも表現することを通じ世界と対峙することで互いを特別な存在にしようとするTWICEの姿勢が示されていたのだった。

 「Feel Special」に続き、グループとしてこれまでにないコンセプトにチャレンジした新曲「MORE & MORE」について「キュートでエネルギッシュとして知られるTWICEとしての既存のイメージと、アーティストや個人の進化が感じられる本作の新たなイメージとのバランスをどのようにとったか?」とインタビューで問われたミナは、こう答えた。(参照:BuzzFeed

「そのバランスが取れるかどうかは、私たち一人一人が誠実であるかどうかということにかかっています。TWICEはファン、そして世界と共に進化しています。私たちは私たちであり続けながら、グループの成長とともに新しい音楽、振り付けなどに挑戦することを大切にしています」

 表現者であることの孤独と喜びを大切に抱き続け、作品やパフォーマンスを通じその瞬間のありのままを伝えるTWICE。そんな彼女たちとこれからも、未だ見ぬ新たな景色を見に行きたい。

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■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter

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