『CALL UP MY COMRADES』インタビュー

SA、4人で語る新体制初アルバム『CALL UP MY COMRADES』での変化 日本の“ロックンロール”に対する問題意識も明かす

(ライブができない状況で)奪われて気づくことがある(NAOKI)

ーーいろんなロックをやっているけど、アルバムを通してぶっとい芯があって、いろんなことをやっているんだけど、聴き疲れしない。これはSAの強みだと思うんです。

KEN:次の曲が流れてきたときに、考えさせちゃうのはよくないと思うんですよ。でも、このアルバムはスッと聴けるし、何回も聴いてるうちに「ここ、こうだったっけ?」と新たな発見があるというか、毎回毎回違って聴こえたりする。そこは、やっぱりオレらの捉え方や意識が変わったからだと思います。すごく満足感がありますね。

TAISEI:だから今までの中で、一番聴いたね。オレ、いつもは出来上がったら満足してあまり聴かないのよ。だけど、たまにベロベロに酔っ払って家帰ってきたときに、ヘッドフォンして3時間くらい聴くんだよ、SAを。「やっぱカッコええなぁ~」って。

一同:(大笑)

TAISEI:そんな中でもこのアルバムはよく聴いたね。「あ、いいアルバムだな」と思いながら。

MATCHAN:素直に、いろんな人に聴いて欲しいなと思いますね。

NAOKI:TAISEIはサーカスもそうだけど、よくイメージを伝えるのね。最後の「MY AIM IS TRUE」は、「NAOKIちゃん、ジョニサンでお願いしまーす」って言われた夜から、行きつけのバーでずっとNew York Dollsをかけてもらって。次の日から「オレはジョニー・サンダースや!」ってリハに行ってな。その前の曲「心、走れ」だったら、「オレはブライアン・メイや!」ですよ。そうやって憑依させながらやってみたり、とにかくのめり込む。「1 to 10」だって、さっきMATCHANがはじめてだって言ってたけど、オレも長いキャリアの中でああいう曲は1回もやってこなかった。でもやってみたら、めちゃくちゃおもろかったです。

TAISEI:先人のロックに対するリスペクトがちゃんと入ってるものをやりたいな、というのはあったよね。そこはバンドとして、音楽家として、音楽好きとしても、そうでありたいからね。完全に新しいものなんてそうそう作れないわけだからさ。ロック好きが聴いてニヤッとするようなもの、オレもそういうレコードが好きだし。「SAって、The Beatlesも好きなんだ」と思ってくれたら嬉しいな。そこは海外のアーティストだけでなく、ガキの頃に聴いてた日本の歌謡曲もひっくるめてちゃんとエッセンスとして入ってる、それが大事な気がするね。

ーーそれでいて、かぶれずに己をちゃんと持ってる。

TAISEI:そう、それなんだよ。かぶれたら、そこには絶対に勝てないからさ。リスペクトしてるけど、「オレらがいちばんカッコいいんだ」というところから始まってないと。「誰々になりたい」じゃ、ダメなんだよ。その辺の気持ちは、50歳過ぎたけど、まだ貪欲に若いままでいたいよね。

NAOKI:「大人だけど遊んじゃうよ」っていう余裕がいつもあるバンドっていいよね。

TAISEI:今回のジャケットで革ジャンを着てるのも、そういう意思表示っていうかさ。革ジャン着ればロック、みたいなステータスってあるじゃない。昨今はファッションアイテムとして老いも若きも着てるけど、それとはちょっと違うんだよね。

ーーそれこそ、TAISEIさんがいつぞやのMCで言っていた「憧れの革ジャンを買った日に、嬉しくて着たまま寝る」という感覚ですよね。

TAISEI:そういうことをしなさいよっていう。

MATCHAN:オレらはバカみたいに愛しますよね、革ジャンだったり、楽器だったり。

TAISEI:欲しくても手に入らなかった時があってね、だからすごく大事なわけ。レコードだってそう、ジャケットがカッコいいなと思って買っても、聴いてみたらがっかりしたことだってあったじゃない。2800円を出すって勇気がいるし、勝負じゃん。

KEN:試聴なんてなかったからね。

ーーなんか、頑張って聴いたりしましたよね。

TAISEI:そうそう、なんとか好きになろうって、2800円分元取るぞって。

ーーそんな大人の気持ちは〈かつてイマドキの若ぇモンは立派に大人になりました〉で始まる「MORNING GLORY」で歌われてます。

TAISEI:もう年齢をみれば、圧倒的に大人であるわけよ。ただ、何をもって大人なんだろうなとは思うよね。中身は若い頃とあまり変わってないわけよ。

KEN:大人じゃないよね。

TAISEI:逆に大人じゃなくてよかったなとも思うよね。

NAOKI:だから「MORNING GLORY」なわけよ。朝顔のようにあっち行ったりこっち行ったりしながらも、上を目指す。

TAISEI:大人でいえば、この曲では”二十歳(ハタチ)”というワードを使いたかったんだよね。さっきの橙色もそうだけど、なんか”ハタチ”って響きがいいよね。“ハタチ”を使うパンクバンドはいないよ(笑)。

ーーどの曲もライブ映えしそうな、コムレイズの士気を上げていくアルバムですが、反面で今ライブができない現状に何を思いますか。

TAISEI:ステージに立つことが日常というか、当たり前だったわけ。今、それを失っている中で、たまに思うんだよね、「あれ、オレ、ミュージシャンだったよな」って。「ライブ好きだったんだなぁ」って思う。やれ身体が、喉の薬が、とか言いながらあの街、この街で、2時間フルテンションでライブやるのは正直、しんどい時もあるよ。だけど、やっぱ好きだったんだなぁ。

NAOKI:奪われて気づくことがあるよね。機材車移動イヤだなと思ってたけど、今は深夜の高速走りたいもんね。去年は毎週全国を車で廻ってたわけだからさ。TAISEIのリーゼントも随分見てないしな。

TAISEI:オレ、長髪になるからね、BAD MESSIAH以来のロン毛再び。

一同:(大爆笑)

TAISEI:この状況もいい風に考えれば、なかなか経験できないことだよね。いろんな考え方をしたし、今もしている最中だし。この経験がミュージシャンとして、音楽家として、のちの自分らの財産になるんじゃないかと。くさい言い方かもしれないけど、SAを好きでいてくれるヤツらの愛を再確認できてるところもあるしね。声援やSAコールが、オレらを突き動かしてくれてたんだな、と考えさせてくれる。で、またライブをやれる日がくれば、それをもう一度もらいに行けるし。“MY COMRADES”にね。

SA『CALL UP MY COMRADES』

■リリース情報
New Album『CALL UP MY COMRADES』
2020年6月17日(水)発売
定価:¥3,000+税(税込¥3,300)
<CD収録内容>
01.マジックアワーがきこえるかい  
02.STILL STANDING (Hey ! Bud)
03.BLACK SEA
04.すったもんだBILLY
05.1to10
06.孤高の花
07.MORNING GLORY
08.FLY FLY FLY
09.心、走れ
10.MY AIM IS TRUE

SA公式サイト

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