2ndシングル 『僕はしあわせなのか?』インタビュー
ザ・コインロッカーズ 松本璃奈&船井美玖に聞く、新体制への本音と再出発「私たちの努力が否定されたみたいで悔しかった」
答えを探す主人公の気持ちになって、心を込めて歌う(船井)
ーー待望の2ndシングル『僕はしあわせなのか?』も5月27日に無事リリース。表題曲の「僕はしあわせなのか?」を初めて聴いたとき、おふたりはどう思いましたか?
船井:昨年の秋、「コインロッカーの中身」と一緒に「僕はしあわせなのか?」の楽曲をいただいたんですけど、私はまず最初に「僕はしあわせなのか?」に対して「あ、私この曲好きだ! この曲を歌いたい!」って思いました。その曲が2ndシングルの表題曲になったのはすごくうれしかったですね。
松本:私はロックな曲調が好きなので、最初は「コインロッカーの中身」がいいなと思っていたんですけど、今回のレコーディングで改めて「僕はしあわせなのか?」を聴いたとき……この曲は恋愛ソングだけど、私は歌詞の中の「君」を自分にとっての「夢」に当てはめて聴いたら、すごく考えさせられることが多くて。そういう意味でも、いろんな人に共感してもらえる素敵な曲だなと思いました。
ーー何か答えを見つけて完結する歌詞ではなくて、そこを見つけるまでの模索を歌った内容ですものね。
松本:そうですね。そこが今のザ・コインロッカーズっぽいなと思うんです。「僕はしあわせなのか?」は去年からライブで披露していたんですけど、その頃と13人になってからの「僕はしあわせなのか?」を比べると捉え方が変わったというか。ファンの方からも「今のザ・コインロッカーズに当てはめて聴いちゃう」という声が多いですね。
船井:「これが2ndシングルって、すごくエモい! 以前のザ・コインロッカーズを知っているからこそ、聴いたらとても感動する」と言ってくださるんです。
ーー確かに、置かれた立場によって歌詞の響き方も変わりそうですし、今だからこその内容だなとも思いました。では、レコーディングで歌う際も気持ちの込め方に変化があったんじゃないですか?
船井:はい。最初に歌詞を読んだときは「すごく切なくて、叶わない恋心を綴っている」と思っていたんですけど、レコーディングで歌ってみると……主人公の思いは叶わないんだけど、自分の中で「好きでいることは本当に正しいのか?」と葛藤している部分を見つけられて。結局、この歌詞の中では答えが出ないんですよ。歌詞の最後に〈運命だ〉ってあるんですけど、自分の心にずっと問いかけて答えを探す主人公の気持ちになって、心を込めて歌うようにしています。
ーー堂々と歌うのではなくて、むしろその悩んでいる部分を表現してると。
船井:そうですね。私たちが「これが答えだ」と提示するのではなくて、聴いてくださる方が「答えってなんなんだろう?」と自分に問いかけるように聴いていただきたいですね。
ドラムを叩くときの気持ちが今までとは変わった(松本)
ーーツインボーカルやトリプルドラムという編成で制作に臨むのも初めてでしたよね。
船井:レコーディングは別々に録ったんですけど、360°ライブ(3月21日にYouTubeで配信された『青春LOCKER2020~Vol.0~』)のときに初めて宇都宮(未来)と2人一緒に歌ったんです。呼吸を合わせるタイミングも難しかったですし、ひとつの曲の中で私と宇都宮とで歌い方が違うと、1曲の中でストーリーが別々になってしまって伝わるものも違うのかなとも感じて。なので、「こういうふうに歌おうね」「こういう主人公になりきって歌おうね」と話し合ってから歌うことが増えました。
松本:レコーディングのときはなるちゃん(成澤愛実)の次だったので、バシバシうまく叩くなるちゃんを観て「ああ、ヤバイな」とちょっと不安になりつつも、「自分もなるちゃんに負けないように頑張ろう」って思いながらレコーディングに臨みました。でも、ミュージックビデオ撮影や音楽番組で演奏させていただくときは、ほかの2人(成澤、森)と合わせることを意識するようになって、ドラムを叩くときの気持ちが今までとは変わった気がします。それまでベースと合わせることを意識して叩いていたけど、今はまずドラム同士で合わせないといけないので、ドラム同士でのアイコンタクトが結構増えましたね。
ーーライブでは3人同時に叩くからこそ、それぞれの違いも浮き彫りになるでしょうし。
松本:そうなんです。そもそも叩くスタイルもノリも全然違うので、そこも楽しんでほしいなと思いますね。
ーー4月下旬に放送された『プレミアMelodiX!』(テレビ東京)でのパフォーマンスも拝見しましたが、皆さん表情豊かで、13人それぞれの色がしっかり出ていたと思いますよ。
松本:本当ですか? よかった(笑)。私は叩いているとき……どこまで意識できていたかなあ(笑)。自分がここでカメラに映るというのが事前にわかっていたので、そこではめっちゃカメラを意識していたんですけど、まだ実際ライブでは披露していないので、そこは今後変わってくるような気がします。
船井:私は歌番組でもライブでもそうなんですけど、歌詞を届けるために表情とか歌い方をめちゃくちゃ気にしちゃうんです。「僕はしあわせなのか?」を歌うときは特に気持ちが曲に入りすぎて、気持ちが重くなりすぎて沈んじゃうんですよ(苦笑)。歌っている途中で泣いちゃいそうになることもあるんですけど、そこでカメラを意識しちゃうと、歌詞に対する気持ちを忘れそうになってしまって。だから、『プレミアMelodiX!』での後悔は、カメラ目線が一切できなかったことです(笑)。
部活を思わせるような青春感の強い表情に注目してほしい(船井)
ーーミュージックビデオも学校を舞台にした、非常に新鮮な内容でした。
船井:撮影現場はすごく楽しかったよね。
松本:うん(笑)。
船井:ミュージックビデオを撮ること自体が久しぶりだったのもあるんですけど、13人で撮影するのも初めてでしたし、メンバーと顔を合わせながら演奏するシーンとかめちゃくちゃ楽しくて。部活動や学校での生活シーンを連想していただけるような青春感の溢れた表情がたくさん撮れているので、そこに注目してほしいです。
松本:私はドラムの3人が背を合わせて、円になって叩いているシーンが一番印象的で。あそこ、周りに風船が100個くらいあったのかな。常にパンパンパンって割れていたので、最初はめっちゃ怖かったんですけど、でもだんだん曲の一部かなってくらい慣れてきちゃって(笑)。シンバルも自分のドラムセットだけじゃなくて、なるちゃんとふた葉のやつも叩いちゃうくらい超自由な感じで、本当に楽しかったなあ。
ーードラムやギター、キーボードのメンバーが固まって演奏する場面は、ほかのバンドにはない見応えがありますよね。
松本:最初「こういうふうにミュージックビデオを撮ります」って伝えられたときに、「それがあったか!」と思いましたもん。
船井:すごい迫力がありますよね、キーボードが三角形になっていたり。
松本:綺麗だよね。あとは手話も印象的だよね。
船井:うん。手話の振り付けは、最初ボーカルだけで練習していて。初めての試みってことで宇都宮とじっくり練習していたんですけど、撮影当日に「全員でやってみよう」ってことになって。
松本:急遽ね(笑)。
船井:13人で手話の振り付けを覚えて、最後の最後に10分ぐらいで撮ってみようって感じで撮影していただいたんですけど、完成したミュージックビデオを観たら大事な場面で13人の手話ダンスが使われていて(笑)。でも、歌詞にリンクした手話が取り入れられているので、ぜひ歌詞と照らし合わせて観てほしいですね。