大森靖子による寄稿文:「コロナ以降」のカルチャーに望む、価値観のアップデート

大森靖子「コロナ以降」のカルチャーに望むこと

ZOCの活動についてーー「ほんの1ミリ未来のことを歌っていたい」

 ZOCはスタッフもメンバーも、新メンバー加入、しかも初のZeppツアーということで、ライブに対しての熱量がかなり仕上がっていたので、すぐポーイとは捨てて諦められない感情を持っていました。それをどこに持っていくか、みたいなプロジェクトを、一個一個作っていった感じでした。

 刻一刻事態は変わるので、それを毎日見ていくしかないです。

 本決定でないものをメンバーに言うと余計混乱することもあるので、あとすぐ情報漏洩する癖があるので、言ってないこともちょいちょいありますね……。

 どのアーティストも多分そうだと思うんですが、一年後くらいまではやることが決まってるんです。そのくらい前に準備しないと、会場が抑えられなかったり、スケジュールがうまく調整できなかったりするからです。

 それをどのくらい止めずにできるかなあというのを一手一手うまくうっていきたいなというところ。

 ZOCの次に考えている新曲の歌詞で、「家でできること家でしよー!」という一節を去年かいていて、今の状況でそれを言うのが天邪鬼な自分にとっては拷問なので、書き直しになりそうだなーって感じです。

 常に今の言葉でほんの1ミリ未来のことを歌っていたいです。今のことは歌いたくないなあ。

孤独を尊重すること、そして生きてまた会いましょう

 ここから先、現状では何も変わらないと思います。人はそんなに成長しないし、一つの成功体験にすがる悪い癖があります。変わるといいなと思います。というか変わり続けて欲しいし、もっとはやく変わっていくべきだったことに手をつけるいい機会だと思うので、この期間中に今一度、リリース、宣伝、ライブ、フェス、打ち合わせ、収入源、誰が悲鳴を上げているか、業界を支えてくれる現場の人と助けあえているか、誰かを差別してないか、仕事のすべてのあり方を自分も考え直していきたいし、そこで導き出した答えすら、今日の日はこれでいいのか? と精査していたいです。

 これからも音楽文化を絶えず発展させていくために大切になるのは、孤独を尊重すること。

 死なないでください。生きてまた会いましょう。それしかないです。

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