浜崎あゆみ、クリエイター企画が好評の理由 セルフプロデュース徹底したアーティストによる「使ってみた」への挑戦
浜崎あゆみはクリエイターたちを信じている
浜崎は、音楽作りの点においても高い意識を持っている。2014年12月、浜崎が参加した宇多田ヒカルのカバーアルバム『宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-』がリリースされた。レディー・ガガ、ジェニファー・ロペスらのプロデュースで知られるRedOne Productionのヨハン・サイモン、トレヴァー・ムジーと組み、浜崎ならではのアレンジで「Movin’on without you」のカバー曲を制作。その完成度の高さが絶賛された。
2015年に音楽番組『SONGS』(NHK総合)へ出演した際には、同曲のカバーについて「敬意を払って歌いました。みんな、すごく大事に曲を作っている。だからこそ自分が納得できるテイクが録れて嬉しかった」とコメントしている。
セルフプロデュースで自らの世界観を築き上げてきた浜崎は、誰かが作った楽曲を引き受けることのおもしろさと怖さを知っている。何かを「作る」ということは、どんな場合であれ大きな責任がともなう、ということをわかっている。そういう意味では今回、浜崎は受け手であるクリエイターたちのことを強く信じているのだろう。また、企画タイトルがあらわしているように、「クリエイトすること」について何かしら気づきを持って欲しいと願っているのではないだろうか(これは筆者の勝手な想像だが)。
あと、これは重ねがさねになるが、日本のトップアーティストのアカペラ音源が無料で手に入るなんて、条件付きとは言えやっぱりありえないことだと感じている。しかも、配信される曲数は100曲という大ボリュームである。
日本国内の新型コロナウイルスの感染は一波が落ち着いてきた雰囲気もあるが、まだまだ油断はできず、休日の外出は控えるように呼びかけられている。在宅時間は依然として多いなか、やり込み度抜群のゲーム的感覚で「#AYUクリエイターチャレンジ」に取り組んでみてはいかがだろうか。
■田辺ユウキ
大阪を拠点に、情報誌&サイト編集者を経て2010年にライターとして独立。映画・映像評論を中心にテレビ、アイドル、書籍、スポーツなど地上から地下まで広く考察。バンタン大阪校の映像論講師も担当。Twitter