GYROAXIA 小笠原 仁×ASH DA HEROが語る、『BanG Dream!』プロジェクトに向ける情熱とバンドとしての野望

GYROAXIA×ASH DA HERO

旭 那由多は一本の研ぎ澄まされたナイフ

ASH DA HERO

ーーGYROAXIAの曲は、HoobastankやLinkin Parkといった海外のロックバンドのようなスケール感があると思いました。ASHさんはGYROAXIAの音楽の方向づけにも関わったそうですが、どんなバンド像をイメージしたんでしょうか?

ASH:GYROAXIAというバンドは、旭 那由多という圧倒的なカリスマ性を持ったワンマンバンドであることが絶対に面白くて、でも現代の音楽シーンにはそういうアーティストは少ない気がします。昔は「ボーカルの俺が偉い!」みたいな俺様ボーカルがけっこういて、今は時代がそういう存在を求めていないというのもあるけど、俺様ボーカルが好きな人も絶対いる。そういうロックの歴史みたいなものをちゃんと踏襲した、ある種の王道的なロックバンドを作りたいと思いました。だからボーカルのカリスマ性が爆発するような楽曲を作りたいと思って。

ーー俺様的なバンドって具体的には?

ASH:例えばBon Joviはそうじゃないですか? 自分の名前をバンド名にしちゃうくらいだし(笑)。だからバンドの持つ雰囲気は80年代で、音は90年代〜2000年代というイメージ、歌詞にはちょっとグランジっぽい退廃的な要素を落とし込んでいます。というのも、那由多のようなエゴイスティックなボーカルは、きっとハッピーなことは歌わないと思うんです。歌いたいと思ってもシャイで、「頑張ろうぜ」って真っ直ぐ言えないと思うから。

小笠原:確かに那由多は、「頑張ろうぜ」なんて天地がひっくり返っても言いませんね(笑)。

ーー小笠原さんは、GYROAXIAのボーカルである旭那由多というキャラクターを構築する上でどんなことを考えましたか?

小笠原:僕がオーディションを受けたときは、3行くらいの説明文と4つのセリフだけで、そこから考えて演じなくてはいけなくて。そのときの印象としては、周りに当たり散らすだけの横暴な暴君といった印象でした。でもボイスドラマのセリフやASHさんが書いてくださった歌詞を通して、どんどんイメージが変わりました。

 ひとつラッキーだったのは、那由多は作詞作曲を自分でやっているというところ。つまりASHさんが書いてくださった「MANIFESTO」などの曲や歌詞は、そのまま那由多が書いたものだと受け取れるんです。なので、「MANIFESTO」をいただいたときに自分のなかで旭 那由多というキャラクターが、カチャカチャって組み上がった感覚がありました。

ーーそこでどんなキャラクター像をイメージしましたか?

小笠原:決して周りや世のなかに対して敵意を持っているわけではなく、単に音楽以外のことに興味がない。職人気質と言うか、ひとりで黙々とナイフを研いでいる感じで、それを邪魔しようものなら相手が誰であろうと容赦なくナイフを向ける。でもナイフって研げば研ぐほど鋭くなるけど、同時に脆くもなるんです。すごく強いけど、ある日突然いなくなってしまいそうな危うさも感じさせます。

ASH:そういうところが、昔のロックスターっぽくて格好いい。

小笠原:演じて、歌って、新しい曲をいただいて、関わっていくうちに、どんどん自分のなかで旭 那由多というキャラクターができあがって、一本の鋭いナイフのような印象になりました。最初は銃火器で周りに乱射するようなとんでもないキャラクターだと思っていたけど(笑)。

ASH:仁くんが言ったことに間違いないです。武士とか、「俺の後ろに立つな」じゃないけど、そういうハードボイルドさがあって、虎視眈々とした感じ。

ーー「REVOLUTION」は歌がメインで、「MANIFESTO」はラップがメインのラウド系。そしてアニメのエンディングテーマとして流れる「LIAR」は、両方の曲の格好良いところを合わせたようだと思いました。「LIAR」を作るにあたっては、どんなことをイメージしましたか?

ASH:「LIAR」は、音楽制作スタッフ側から「ダンスナンバーで」という指定があったんです。僕のなかですでにGYROAXIAというバンドに命が吹き込まれ始めていたから、「彼らの新曲のダンスナンバーはどういうものだろう?」と想像したときに、決してディスコやEDMではないと思ったんですね。そこで辿り着いたのが、エモーショナルロックやラウドロックに、トラップのビートを組み合わせることでした。最終的にはトラップじゃなくなったけど(笑)。だから最初はリズムのループとシンセだけでオケを作り、那由多がそれをジャイロのメンバーに投げたとして、メンバーはどんなアレンジを加えて返してくるかを想像してアレンジを固めて。最終的にループや打ち込みといった小賢しいものは無くして、バンド演奏のグルーヴのみで、ダンサブルさを表現する方向に持っていきました。

ーーバンドの生演奏でダンスビートを感じるのは難しいと思うのですが、歌うときはやはりリズムを意識していますか?

小笠原:「LIAR」は、リズムが「MANIFESTO」以上に難しくて。

ASH:相当難しいと思う。

小笠原:滑舌が吹き飛ぶようなめちゃめちゃ速いラップパートもあるんですけど、全体的にそれ以前に歌わせていただいていたジャイロの曲とは音数も雰囲気も違うし、イントロのコーラスの裏でシンセが鳴っている時点で「いつもと様子が違うぞ!」って。その後にダダダダッて入ってくるドラムの感じも手伝って、「今度のジャイロはこういう感じか!」と、ビジョンがバシッと伝わってくるインパクトがありました。でもひと通り聴いて思ったのは、「ASHさん“スクリーム”しすぎ。殺す気ですか!」っていうことでした(笑)。

ASH:スクリームは、やってもやらなくても良いと思っていたんですけどね。声優さんにノドを酷使させるのは申し訳ないから、俺が歌ったスクリームをそのまま使ってもらっても良いと思っていたんです。

小笠原:ディレクターさんからも「歌わなくても大丈夫だよ」と言われたんですけど……。旭 那由多は作詞・作曲からコーラス&ハモリまで全部やっているキャラクターだから、もしここで譲ってしまったら役者としてブレてしまいそうだし、旭 那由多として今後ステージに立つときやマイク前に立つときに、いろいろと大事なものを失ってしまうと思ったんです。だから。血反吐を吐く思いでスクリームの練習をしました。

ASH:マジメだな〜(笑)。でもスクリームはやり方によってはノドをつぶしちゃうから気をつけないと。

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