さだまさしに聞く「緊急事態宣言の夜に」を歌った理由 「これが音楽家として僕にできること」

さだまさし「緊急事態宣言の夜に」を歌った理由

表現者として歌を作ることはもちろん、発信を続けたい

ーー実際問題として、何ができるか? という。

さだ:人とできるだけ“会わない”努力をしていかないといけないと思うんです。全員が抗体を持つまで終わらない病気ですから、ウイルスをできるだけ遠ざけて、薬とワクチンを待つしかない。とにかく逃げるという作戦ですよね。僕は、いまの状況を“見えない宇宙人が攻めてきた戦争”に例えているんです。「コロナウイルス」という名前の宇宙人が攻めてきて、こんなにも人を傷つけているのに、人間同士が争っている場合じゃないし、「家で我慢する」という戦いなら出来るんじゃないか、と。ただ、「家でじっとしていたら、世の中が動かない」という役割の方もいらっしゃるんです。

ーー「緊急事態宣言の夜に」でも歌われている、生活インフラに関わる方々ですね。

さだ:はい。生活インフラに関わるみなさんには、感謝を捧げないといけないなと。こういう時期にゴミを集めて、処理してくださる方々がいるんですよ。怖いですよね。誰が鼻をかんだか分からないティッシュがいっぱい入ったごみ袋が、バラッとほどけてしまったり……。防護服も着ていないのに大変ですよ。本当に頭が下がるし、感謝の思いでいっぱいですよね。警察、消防署、宅配、自衛官のみなさんもそうだし、もちろん医療関係の方々もそう。僕の知り合いの若いお医者さんから、「(医療の)現場に入るとき、遺書を書く同僚がいる」という話も聞きました。重症化するリスクがある以上、そういう覚悟で医療に当たっているということですよね。そういう決心が伝われば、なるべく不要不急のときに「家から出ない」ということは僕たちにもできるはずだと思うんです。そのあたりのことは(「緊急事態宣言の夜に」のなかで)歌に入れられなかったから、次に披露するまでに直すつもりです。歌うチャンスがいつ来るのかはわからないですけどね。少なくともレコードにするつもりはないですが、これが音楽家として僕にできることです。

ーー5月20日にはニューアルバム『存在理由〜Raison d'etre〜』がリリースされます。ライブの開催はしばらく難しい状況だと思いますが、今後はどんな活動をしていこうと考えていますか。

さだ:表現者として歌を作ることはもちろんですが、発信を続けたいと思ってます。“生さだ”(NHK『今夜も生でさだまさし』)も4月25日に放送したのですが、井上くん(井上知幸/構成作家兼アシスタント)、住吉くん(住吉昇/音響効果)はパソコンで参加してもらいました。仲がいいからこそ、「(スタジオには)来ないでね」っていうことですね。その他にも、YouTube、LINE LIVE、インスタライブなど、いろんな形で伝えていけたらいいなと。表現するのが僕らの仕事ですからね。

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