1stミニアルバム『LOBSTER』インタビュー

ビートルズの遺伝子受け継ぐ新鋭バンド yonawo初インタビュー ネオソウルへ至る音楽遍歴からメンバーの素顔に迫る

 福岡出身の4人組バンド、yonawoの1stミニアルバム『LOBSTER』がリリースされる。ボーカル&キーボードの荒谷翔大による少しハスキーでソウルフルな歌声と、音数を削ぎ落としたシンプルでざらついた手触りのバンドアンサンブルには、ジャズやロック、ヒップホップ、R&Bなど様々な音楽スタイルからの影響が見て取れる。

yonawo - 矜羯羅がる【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 そういえば、先だって開催された東京での「お披露目ライブ」では、開演前のBGMで自分たちのお気に入りの楽曲を流していたが、ビル・エバンスやザ・ストロークス、エイフェックス・ツインなどが並ぶその雑食な音楽的嗜好は、yonawoの音楽性にダイレクトに反映されていて興味深い。とりわけビートルズ以降のUKロックから受け継いだ遺伝子が、彼を昨今巷に氾濫する多くのネオソウル〜シティポップ系のバンドとは、一線を画すものにしているのは間違いないだろう。地元に根ざしながら、早耳の音楽ファンを中心に着々とファンベースを広げているyonawo 。その素顔に迫るためメンバー全員に話を聞いた。(黒田隆憲)

yonawo 2019/11/29@恵比寿KATA

yonawo結成の前日譚

yonawo(荒谷翔大、斉藤雄哉、野元喬文、田中慧)

ーーまずはyonawo結成の経緯から教えてもらえますか?

荒谷翔大(以下:荒谷):僕と(斉藤)雄哉は中学の時、同じクラブのサッカーチームで音楽の話をして意気投合したんです。「ビートルズっていいよね」「うち、レコードあるよ?」みたいな。それまでレコードとか触れたこともなかったから、それで彼の家に遊びに行くようになって。しかも「楽器が弾きたいんだよね」と話したら、「ギターもピアノも家にあるよ?」って(笑)。

斉藤雄哉(以下、斉藤):親がミュージシャンなんです。

荒谷:なので最初は「バンドをやろう」というより、「2人で音楽をやろう」みたいな感じで盛り上がりました。

ーー田中さんと野元さんは、斉藤さんの高校時代の同級生だったとか。

田中慧(以下、田中):野元とは学祭でバンドを組んだんですけど、その時は僕がギター&ボーカルでした。音楽的には今のyonawoよりもっとロックっぽいというか。荒削りなUKロックが好きだったので、そういうののカバーをしていましたね。

野元喬文(以下、野元):そこで時々、雄哉がギターを弾いてくれていて。雄哉を通じて荒ちゃんとも遊ぶようになったんですけど、バンドも「遊び」の延長線上というか。みんなで誘い合ってリハスタに入って音を鳴らす、みたいな。

荒谷:テクニックも何もなかったけど(笑)、とにかく音を出して適当にセッションするのが楽しかったんです。

ーー曲は主に荒谷さんが作っているそうですが、いつくらいから作曲するようになったんですか?

荒谷:小さい頃から歌うのが好きで、近所中に聞こえるくらいの大声でJ-POPの曲とかを歌っていたんですけど(笑)、そのうち鼻歌で適当に作ったメロディをボイスメモに録ったり、それを繰り返し聴いて覚えたりするようになって。その先に楽器演奏やバンド活動があるんじゃないかということは、漠然と思っていましたね。

ーー最初にビートルズの話が出てましたが、yonawoの音楽にはUKロックの遺伝子が受け継がれているんじゃないかと、先日のライブ(昨年11月に東京・恵比寿KATAで開催された『yonawo "ミルクチョコ" Release Party』を観たときに強く感じたんですよ(『福岡発バンド・yonawoがスペシャル・ライブで見せた、yonawoイズムニックなサウンド』)。

斉藤:おっしゃる通り、僕ら4人とも音楽の入り口はUKロックでしたね。

荒谷:僕も慧と同じで荒削りなロックが好きなんですけど、アルバムの後半に入っているミディアムテンポの「いい曲」とか、ちょっとセッションっぽい曲を気づいたら繰り返し聴いているタイプでした。例えばビートルズの『ホワイト・アルバム(The Beatles)』だったら「I'm So Tired」や「Cry Baby Cry」のような、気だるくて哀愁漂う感じの曲とか、「Happiness Is A Warm Gun」みたいに、1曲の中で目まぐるしく展開していく曲……。

田中:『Revolver』に入っている「For No One」とかね。あと、僕らの中の共通点として暗い曲に惹かれる傾向があって。『Rubber Soul』の「Michelle」もそうだし、例えばアークティック・モンキーズも、ダークでクールな感じがすごく好きでした。

斉藤:「Only Ones Who Knows」とかね。

田中:そうそう!(笑)ポーティスヘッドの『dummy』もめちゃくちゃ好きだし。ボーズ・オブ・カナダとか、ちょっと奇妙な音楽が琴線に触れるんです。yonawoでも今後、そういう曲を作って荒ちゃんに歌わせてみたいなと思っています。

荒谷:歌ってみたい!(笑)

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