CRYAMY、時速36km、osage......情感豊かなギターロックの新鋭たち ダイナミックなメロディと曲展開を分析

osage

osage『October.』

 最後に紹介したいのは、osageというバンドである。音質もMVの映像も「粗い」ことが魅力になっているような不思議なバンドだ。サウンドから見える解像度が他と少し違うと言えばいいだろうか。osageは前述のバンドと比べると、音の爆発力やギターロックとしての煩さは劣っており、どちからといえば、行儀の良さを感じ取ってしまうかもしれない。しかし、ギターとボーカルが結託することによって、情感を揺さぶってくるような装いは、他のバンドに負けず劣らずな部分がある。他のバンドよりもボーカルの声立ちが明瞭な分、ボーカルの紡ぐフレーズのひとつひとつが綺麗に剥ぎ取られ、刃となり、感情の部分に突き刺さってくるように思うのである。「エンドロール」という楽曲でも、彼らのそういう魅力が詰まっている。まさしく情感豊かなギターロックというカテゴライズにふさわしいバンドなのである。

osage「ウーロンハイと春に」MV
osage/ エンドロール【MUSIC VIDEO】

 パッと見ると派手ではないし、同じギターロックでも今の流行りのタイプではないと思う。フェスシーンにおいても、サブスクシーンにおいても、決してロック界隈のマジョリティにはならなさそうな音楽であるし、SNS上でもわかりやすいバズは生まない気がする。しかし、先ほども述べたように、彼ら3組のような音楽は刺さる人にはどこまでも刺さるのだ。ブームや時代の流れと別のところで、少しずつ広がっていくのだと思う。そもそもロックっていつの時代も社会の空気からはみ出てしまったような人たちを肯定してくれる面があった。マイノリティのための音楽という側面もあったわけだ。ギターロックにおけるマイノリティな彼らの音楽は、だからこそ「分かる人」にどこまでも刺さり続け、そっとバンドシーンに存在感を示していく。そのように感じるのである。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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