FLOWの楽曲がアニメに愛され続ける理由 作品に寄り添う力と柔軟性、一貫した姿勢が息の長いコラボに
それはアニメソングを生み出すときも同じである。一口に「アニメ」といっても、作品それぞれの描く世界観や物語はさまざまだが、そのさまざまな世界や物語に対して、FLOWの楽曲は自然に寄り添い、入り込んでいく。その結果として、FLOWのスタイルや音楽として表現したいことと、コラボレーションする作品の世界が親密にリンクする。だから、最初の「GO!!!」でダンスビートを大胆に取り入れて以降、ストリングスアレンジと流れるようなメロディが美しい「DAYS」やスケールの大きなロックナンバー「WORD OF THE VOICE」……と、その後の彼らのタイアップソングたちは楽曲ごとにめくるめくような変化を遂げてきた。自分たちのスタイルを向き合う対象や相手との融合によってしなやかに変化させ、それによって彼らは自分たちの物語すらものびのびと動かしてきたのである。
たとえば『交響詩篇エウレカセブン』のオープニングテーマとなった「DAYS」。この曲の〈たとえ二人並んで見た夢から覚めても/この想い 忘れはしない ずっと〉という歌詞にはFLOWの5人の立ち姿と『エウレカセブン』の少年少女の物語が重なっているように思える。あるいは『NARUTO -ナルト-』の8代目オープニングテーマとなった「Re:member」。KEIGO(Vo)が交通事故での大怪我から復活した最初のシングルとなったこの曲はリスタートするFLOWのテーマソングだが、〈掻き鳴らせ存在を ここにいると…/新たな旅が今始まる〉というメッセージが、楽曲の上で『NARUTO』の物語とがっちりとリンクしている。
舞台作品やゲームも含め合計7曲を担当しているその『NARUTO』シリーズを筆頭に、FLOWにはひとつの作品(シリーズ)との息の長いコラボレーションが多い。それはつまり、単発のコラボレーションに終始するのではなく、彼らが常に作品と同じ物語を生きる覚悟で楽曲を生み出していることの表れだ。たとえば『エウレカセブン』とタイアップした「DAYS」と「ブレイブルー」、『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』と組んだ「風ノ唄」「BURN」「INNOSENSE」あたりを追いかけていくとわかるが、それぞれ別個の楽曲でありながら、そこには音楽的、あるいは歌詞の内容的に、貫かれているものがある。それこそがFLOWの物語であり、彼らがアニメに愛され続ける理由なのだ。
■小川智宏
元『ROCKIN’ON JAPAN』副編集長。現在はキュレーションアプリ「antenna*」編集長を務めるかたわら、音楽ライターとして雑誌・webメディアなどで幅広く執筆。
■オンエア情報
WOWOW『FLOW 超会議 2020 〜アニメ縛りリターンズ』
放送日時:2020年3月29日(日)22:00〜24:30
放送局:WOWOW
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