BIGBANG T.O.P、“カリスマ”と“ビング”の二面性で翻弄 少年のような心との葛藤を昇華した作品の数々

厳しい現実とラブ&ピース

 人間は、あらゆるストレスに対して様々な反応を見せて対応するという。言い訳をして合理化したり、他のことに熱中して逃避したり……そのなかでも、創作などにエネルギーが向かうことを「昇華」と呼ぶ。“ビングT.O.P”は、彼のなかに生き続ける少年の心の証。年々大きくなる“BIGBANGのT.O.P”への期待と、必死に結果を出そうとする“少年T.O.P”とのギャップを埋めるように、オリジナリティの高い作品が生まれているのではないだろうか。

 T.O.Pは2007年以降、俳優 チェ・スンヒョンとしても活躍してきた。主演映画『タチャ〜神の手〜』で見せた演技は、まさにかわいらしいビングな青年から、覚悟と愛を知った大人の男性への成長をあますことなく体現。「細かいところまでかなり悩みました」とインタビューでも答えていた。もしかしたらそこには彼自身がこれまで感じてきた葛藤が、昇華されていたのかもしれない。

映画『タチャ-神の手-』インタビュー①:テギル編

 だが、人生は映画よりもずっと長い。彼が直面する現実は、葛藤を生み続ける。今年3月3日に、T.O.Pは新型コロナウイルスと戦う希望ブリッジ全国災害救護協会に1億ウォンの寄付をした。彼はこれまでも美術品コレクションという趣味を活かして、アジアの若い芸術家に寄付するチャリティオークションに参加した過去も持つ。少年のような心の持ち主ゆえに厳しい現実にもまっすぐ傷つき、それでも「愛を持っていきましょう。ピース」と私たちに呼びかけてくれる。

 どうやら、彼はまた音楽を作っているらしいとこっそりとファンにメッセージを送った。それが、いつどのような形で披露されるのかは、まだわからない。そう、カムバックそのものも、彼は簡単にはつかませてはくれない。眩しいほどの「カリスマT.O.P」が降臨するのか、それともノビノビとした「ビングT.O.P」が見られるのか。少年の心を持つT.O.Pが傷つかない世界がやってくることを願いながら、これからもつかめないT.O.Pに翻弄される日々を楽しみたい。

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