クリトリック・リスの“口パクライブ”、ceroの“ライブ有料配信”……現状を乗り越える音楽シーンの新たな取り組み
「この異常な事態を乗り切るためにみんなでアイデアを出し合おう。一刻でも早く、元気なライブハウスを取り戻したい。今が大事だ(クリトリック・リス)」
コロナウイルス感染拡大防止のための自粛要請により、イベントの中止や延期が相次ぐエンタメ業界。いまだ収束の見通しが立たない中、各所でさまざまな取り組みが広がっている。
冒頭の言葉は、3月11日の『クリトリック・リス クチパク・ライブ』開催に先立ち発表された、主催者のクリトリック・リスの表明を抜粋したもの。『クチパク・ライブ』では飛沫感染を防ぐため、事前に録音した音声に合わせてライブを行った。時にフロアになだれこみ、時に客とふれあいながら歌うスタイルで知られるクリトリック・リスとしては、異色の内容だ。
会場となった堺FANDANGOは難波ベアーズと並び、大阪のインディーシーンを育ててきたライブハウス。堺FANDANGOの通常キャパは200名ほどだが、今回は50名に限定。マスク着用、入り口での消毒を義務づけての開催となった(マスクを持っていない参加者には販売も行われた)。
幕間のMCまで作り込んだ録音にあわせ、決してステージから降りずのライブとなったが、苦境をなんとかして楽しもうとするクリトリック・リスのユーモアと誠意に、多くの人が笑い、胸を熱くした。
終演後、クリトリック・リスは「口パクライブ。会社からライブハウスに行く事を禁止されてる人、介護施設で働いてる人などは、少しでも力になりたいからって、入場料を払うだけ払って、中に入らず帰って行った。最後まで残ってたお客は、ここで飲めるのが嬉しいって、他の客にお酒を奢りまくってた。みんなライブハウスが好きなんだ」とツイートし、ライブハウスとそれを取り巻く人々への愛情を表現した。