有安杏果、ソロで発揮する独特な音楽センス ももクロ時代との対比から考える

 有安杏果が「サクラトーン」「虹む涙」というタイトルの新曲を配信リリースした。2曲ともに本人の作詞作曲。ももいろクローバーZを卒業してから初めて発表された新曲である。「サクラトーン」では〈見せかけじゃなく本物になっていくんだ絶対〉と歌い、「虹む涙」では〈自分で見つけた道 人に笑われてもいいんだ いいんだ らしく らしく〉と歌う。決意表明とも受け取れる歌詞は、シンガーソングライターとして本格始動したことを伝えているように感じる楽曲だ。

有安杏果「サクラトーン」

 歌唱方法も、ももクロ時代とは変化しているように聞こえる。ももクロ時代は力強い歌声が印象的なボーカリストだった有安杏果。声を張り上げ迫力のあるボーカルが強みだった。ビブラートやしゃくりなどテクニックを使い、感情を込めた歌唱でグループを引っ張っていた。「ゴリラパンチ」では特に彼女の歌唱力の高さとグループを引っ張る力を感じることができると思う。しかし今回発表された新曲2曲では声を張り上げたりせず、肩の力を抜いて落ち着いて歌っている。歌詞の言葉をしっかりと伝えるように、あえてテクニカルな歌い方をせず、素朴な歌唱をしているのだ。

 2017年には『ココロノセンリツ』というソロアルバムをリリース。アルバムは、本人の作詞作曲と楽曲提供が混在するバラエティ豊かな内容になっている。アルバムでの歌い方はグループ在籍時であるためか、ももクロでの歌唱方法に近い反面、楽曲に合わせて歌唱方法を変えているようにも感じるのだ。自身で作曲したバラード曲「色えんぴつ」やミドルテンポの楽曲「ペダル」では感情を込めて歌い上げているが、爽やかなポップナンバー「ヒカリの声」やSuperflyの元メンバーである多保 孝一との共作「feel a heartbeat」では弾けるような明るい歌唱をしている。

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