レルエ、“異端のトリオ”が奏でる王道サウンド 変幻自在のスタイルで良質ポップス生み出すユニークさを分析
そんなレルエから昨年9月に発表した1stアルバム『Alice』に続き、半年という短いスパンで5曲入りの1st EP『Eureka』(読み:エウレカ)が届いた。アルバム名はギリシャ語に由来する感嘆詞で、何かを発見、発明したことを喜ぶときに使われる。そこには今作との出会いが聴き手に歓喜をもたらし、バンドとリスナーを繫ぐきっかけになって欲しいという思いが込められているのだろう。今作はコンパクトな曲数も関係しているのか、より1曲1曲の方向性を振り切り、その上で良質なメロディラインはブラッシュアップされた印象だ。バラエティ豊かな曲調が収録されているにもかかわらず、作品のトータル性は高まっており、バンドのポピュラリティは強化されている。
冒頭を飾る「あふれる」は、雲間から希望の光が差し込む切なくも明るいグラデーションを感じさせる曲調。ダンサブルなテンポを刻みながら、透き通るような櫻井のハイトーンボイスは無限の広がりで聴く者を包み込む。ミニマムにしてマキシマムなスケールを描いた音色は絶品だ。次の「キミソラ」はアニメ『モンスターストライク』最終章『エンド・オブ・ザ・ワールド』主題歌のために書き下ろした楽曲であり、バンド初のタイアップナンバー。アニメの世界観に寄り添いつつ、キャッチーなサビの突き抜けっぷりが最高。エッジの際立つギターをアクセントに、優雅なバイオリンを大々的にフィーチャーし、動静と起伏に富んだドラマティックな音像に興奮せずにはいられない。
それから一転、打ち込み主体で作り上げた「深海」はとてもシンプル。曲名からイメージされる通り、引きの美学により神秘的なメロディが炙り出されている。続いてシティポップをレルエ調に解釈したような「pulse」も新鮮な響きがあり、「深海」同様に夜のドライブに似合う曲調と言えるだろう。裏声を効果的に活かしたボーカルも実に味わい深い。そして、本作の最後を締め括る「白」はビートが強調されたアップテンポな楽曲で、迫力溢れる演奏はライブでも映えそうだ。こうして聴くと、今作は縦横無尽に音のレンジを広げながら、どれもシングル級にキャラクターの強い楽曲が揃っている。間違いなく、レルエのネクストステージが刻み付けられた一枚に仕上がっている。
『Eureka』は緻密に計算されたハイセンスな楽曲アプローチと大衆を巻き込める良質のメロディを両輪に、2020年のJ-POPシーンに斬り込むことができるポテンシャルの高い作品となった。異端のトリオが奏でる王道のサウンドは懐かしさと新しさを同時に運び、幅広いリスナーを獲得しそうだ。レルエがシーンど真ん中に踊り出る日は、そう遠くない気がする。
■荒金良介
99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。メタル/ラウド/パンク/ミクスチャーなど激しめの音楽を中心に、雑誌/WEBを軸に書いてます。今年、自分が音楽を聴くきっかけになった漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦先生に六本木で偶然すれ違い、心臓が飛び出るほどビックリしました。その昔、荒木先生が少年『ジャンプ』の作者一言コメント欄で、レッド・ツェッペリンをお薦めしてて、それをきっかけに今では音楽ライターをやっています。人生はわからないものです。
■リリース情報
1st EP『Eureka』
発売:2020年3月4日(水)
<初回限定盤(CD+DVD)>
価格:¥2,300(税抜)窓開き三方背スリーブケース
<通常盤(CD)>
価格¥1,500(税抜)
CD収録曲 ※初回限定盤・通常盤共通:
1.あふれる
2.キミソラ ※アニメ「モンスターストライク」最終章『エンド・オブ・ザ・ワールド』主題歌
3.深海
4.pulse
5.白
初回限定盤DVD収録内容:
・Music Video:キミソラ
・LELLE live tour 2019 “Alice” at Shibuya WWW Stockholm 時鳴りの街 クローバー 火花
■配信情報
1st EP『Eureka』
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて3月4日(水)より配信スタート
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music
Digital Single「キミソラ」
配信はこちら
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信中
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music