Awesome City Club、華やかさに深みが増した「アンビバレンス」「ブルージー」 デビュー5周年を迎えるバンドのこれから

 シティポップ〜ファンク/R&B的な音楽をブレンドして人気を集め、2020年にデビュー5周年を迎えるAwesome City Club。彼らが年明けから3カ月連続でのシングルリリースを開始。1月に「アンビバレンス」を、2月に「ブルージー」を発表し、3月の楽曲リリースを経て、春にはアルバムの発売も予定されている。ここでは彼らのこれまでのあゆみと、2020年リリースの2曲について紹介したい。

 2015年にメジャーデビューを果たしたAwesome City Clubは、「架空の街のサウンドトラック」をコンセプトにした作品シリーズ『Awesome City Tracks』を2017年リリースの『Awesome City Tracks 4』で完結。2018年のEP『TORSO』以降はフロントマンのatagiが中心となってソングライティングを担う体制に移行し、よりブラックミュージックからの影響を取り入れた音楽性を追求していった。

 その象徴と言えるのが、ジェームス・ブラウンの発言をタイトルに引用した初のフルアルバム『Catch The One』(2018年12月)だ。このアルバムでは、過去以上にカッティングギターを主体とした楽曲が増え、同時に「SUNNY GIRL」のようなビンテージソウル風の楽曲も加わったことで、音楽性の幅がさらに増大。その後、2019年には、バンドの主宰を務めていたマツザカタクミがグループを脱退するも、今回4人体制となって<cutting edge>に移籍し、新たなスタートを切っている。

 新体制での第1弾となる今年1月15日リリースの「アンビバレンス」は、冒頭に逆再生のようなエフェクトを取り入れつつも、イントロからグルービーなカッティングギターとエレクトロの要素が混ざり合う、atagiの楽曲の特徴とも言えるソウルマナーのきらびやかなポップチューン。2番のAメロに加えられたホーンも印象的なフックになっている。そのうえで、atagiとPORINの男女ツインボーカルがそれぞれにすれ違う感情を歌うことで、きらびやかさと切なさが同時に表現されている。中でも終盤にPORINのボーカルとatagiのコーラスで歌われるユニゾンの豊かな感情表現は、この楽曲の大きな魅力になっているように思える。

Awesome City Club / アンビバレンス

 一方、2月12日にリリースされた2曲目の「ブルージー」は、彼らのシングルでは珍しいバラード曲。いつになく空間をたっぷり取った楽曲によって、歌や演奏そのものの魅力がより伝わってくる。これまで彼らが頻繁に表現してきたきらびやかな都会の風景だけではなく、日常の機微にもより踏み込んで歌を表現するような雰囲気や、音数を絞ったシンプルなアレンジが印象的な楽曲だ。この曲ではPORINがMVの監督を担当。日常を思わせるラフな風景を切りとっている。

Awesome City Club / ブルージー

 また、じっくり聴くと、この曲にも逆回転のようなエフェクトを含む音響的な実験が施され、アレンジの細部に歌を生かす工夫がされている。これまでシングル曲は華やかで踊れる楽曲が多かったAwesome City Clubにとって、またひとつバンドの可能性を広げるリリースと言えそうだ。

 2曲ともに感じるのは、都会の恋や喧騒を思わせる歌詞を男女ツインボーカルで歌うという、Awesome City Clubならではの華やかさ、ロマンティックさはそのままに、より深みを感じさせる楽曲になっていること。人生の「ハレ」だけでなく「ケ」の部分も肩ひじ張らずに表現するような、成熟した魅力が感じられる。これはやはり、デビュー以降経験を積んできた今だからこそではないだろうか。

 3月に予定される楽曲を発表後、春には4人体制初のアルバムも予定されているAwesome City Club。デビュー5周年を迎えたバンドのこれからについても、ますます楽しみになるような雰囲気が印象的な2曲になっている。

■リリース情報
『ブルージー』
発売:2020年2月12日(水)
配信はこちら

『アンビバレンス』
発売:2020年1月15日(水)
配信はこちら

■ライブ情報
『Awesome Talks -One Man Show 2020-』
5月23日(土)石川・金沢AZ
5月29日(金)北海道・札幌PENNY LANE24
6月5日(金)宮城・仙台darwin
6月12日(金)福岡・BEAT STATION
6月14日(日)岡山・YEBISU YA PRO
6月18日(木)大阪・TRAD
6月19日(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6月26日(金)東京・新木場STUDIO COAST

オフィシャルサイト

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