NOT WONK、Jurassic Boys、突然少年……アジカン『酔杯』ツアー出演バンドの魅力 後藤正文の言葉とともに紐解く
ASIAN KUNG-FU GENERATIONが、『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2020 酔杯2 〜The Song of Apple ~』の開催を発表した。恒例ライブツアー『酔杯(SUI CUP)』は、2015年の『Tour 2015 〜酔杯フォーエバー〜』以来5年振りの開催となり、オープニングアクトとしてNOT WONK、東郷清丸、Jurassic Boys、YeYe、the chef cooks me、突然少年、君島大空の7組が各地の公演に出演する。
オープニングアクトに関して、後藤正文(Vo/Gt) は「東郷清丸とYeYeの独特な方向に突き抜けたそれぞれの異能、NOT WONKはインディロックの希望、その希望に連なる新星Jurassic Boys、君島大空という懐かしくて眩しい才能、突然少年の不器用で実直な情熱、the chef cooks meが震わせる音楽への愛と祝福。そのどれもを、こうした俺の陳腐な言葉を塗り替えて体験できる近未来に、興奮しています」とツアー特設サイトにて言及している。本稿ではその中で今後のバンドシーンを担うことが期待されるNOT WONK、Jurassic Boys、突然少年の3組に注目し、後藤正文の言葉を踏まえてこれらのバンドの魅力を分析する。
まずは、後藤が「インディロックの希望」と語るNOT WONK。北海道・苫小牧市出身、shuhei kato(Vo/Gt)、kohei fujii(Ba)、akim chan(Dr)の3ピースバンドだ。2015年にアルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、昨年6月には<cutting edge>から3rdアルバム『Down the Valley』をリリースした。特筆すべき彼らの魅力は進化し続けるそのサウンド。1stアルバムはパンク、メロディック、エモやハードコアの要素を随所に感じる作品であったが、2017年の「Of Reality」(EP『Penfield』収録曲)から新たな音楽的アプローチを見出し、3rdアルバムではこれまでの音楽的嗜好にソウルの要素をクロスオーバーさせ、勢いも緻密さも持ち合わせるロックサウンドを打ち出した。今までのパンクやインディーロックのダイナミズムを保ちながらも、ソウルを取り込んだことで、より静と動の展開や対比が明白なサウンドに。これがライブではたまらなく、圧倒的なパフォーマンスで観客を熱狂の渦に取り込む。
また、昨年12月には地元・苫小牧でDIYのイベント『Your Name』を開催。先日公開された同イベントのドキュメンタリーには、自分たちでイベントを作り上げようと奮起する彼らの姿が収められている。自らシーンを作っていくその姿は、まさに“インディロックの希望”だ。
いまや「ロック」という言葉は広義の意味合いをもち、ロックがどういうものか言及することすら野暮なことかもしれない。しかし次に紹介するJurassic Boysというバンドはまぎれもなく「ロック」バンドだと思う。彼らは東京を拠点に活動するRyusho(Vo/Gt)、Dai(Ba)、Yutaka(Dr)からなる3ピースバンド。USインディーロックを経由した骨太なサウンドと佐野元春を彷彿とさせる歌詞の世界観や渋い歌声で、「ロックンロール」という言葉を体現したような音楽を鳴らす彼ら。昨年9月に<KiliKiliVilla>からリリースしたフルアルバム『Jurassic Boys』のオープニングナンバー「Rock'n Roll Life」で〈でかい音でやろうぜ〉と歌うその言葉通り、ライブでは観る者を圧倒する音圧でストレートなロックを奏でる。後藤が「NOT WONKはインディロックの希望、その希望に連なる新星Jurassic Boys」と表現したように、彼らはNOT WONKにつづいてインディロックシーンを切り開く存在になりうる。