『PRODUCE X 101』からX1が誕生するまで 解散発表を機に振り返るメンバー間の厚い友情

 X1は歴代の“プデュ”出身グループの中でも、取り立てて仲が良いグループにも見える。番組中の、国民プロデューサー代表、イ・ドンウクとの深い交流は、歴代でも珍しい光景だった。もちろん、他の“プデュ”出身グループも仲良しであることは付け加えておく。

 とくにそうした仲の良さ、メンバー間の絆の深さを感じられたのが、X1活動開始後、キム・ヨハンが足を怪我してしまった時だ。怪我により踊れなくなってしまったヨハンは、ステージに椅子を置きボーカルのみで参加していたのだが、それを気遣うメンバーの振る舞いに心うたれた。

 それは、特に「Like always」のステージで顕著だったように思う。ラストサビ、メンバーがフォーメーションを崩して、ステージを目一杯に動き回る振り付けがあるのだが、そこでみんなが椅子に座ったヨハンの元に駆け寄りちょっかいを出すのだ。そして最後の決めポーズでは、全員でヨハンを囲む。

[X1 - Like always] Special Stage | M COUNTDOWN 190905 EP.633

 非公式のファンカムなどでも、そうした姿が確認できる。もちろん、振り付け上の工夫としての意図もあるだろうが、表情からは皆の優しさが読み取れる。

 筆者も豊洲PITで行われたK-POPフェス『12th KMF2019』でのX1のステージを見たことがある。彼らの仲の良さというか、和気あいあいとした雰囲気には心癒された。実際、MC中では同時通訳の声が聞き取れないほどメンバー同士で喋り合っていて、思わず苦笑したのを覚えている。

 X1は思えば最初から苦境が多かったグループだった。ヨハンの怪我もそうだが、前述のイベントの際は、日韓関係が急速に悪化している最中で、そもそもの来日が危ぶまれた。さらに言えば本人たちの過密スケジュールも相当なものだったろう。

 しかし、彼らはそうした困難を乗り越えながら我々ONE ITにとびきりの笑顔とパフォーマンスを届けてくれた。それがわずか6カ月という短い活動期間になってしまったことは、非常に胸が痛むし残念に思う。筆者もまだ心の整理がつけられていないのが正直なところだ。

 だが、彼らなら今回の逆境もきっと乗り越えられると信じている。“プデュ”では落ちてしまったメンバーたちも、番組をきっかけに手にしたチャンスを生かしそれぞれ活動を続けている。X1のメンバーたちも、またどこかであの笑顔を見せてくれるだろう。心が折れてしまうような状況だと思うが、今は少しゆっくりして、家族や友人たちと心休まる時間を過ごしてほしい。そして、まだ夢を諦められない気持ちがあるのなら、また努力を続けてほしい。彼らが花道だけを歩いていけることを祈る。〈포기 하지 마(諦めるな)〉。

X1 (엑스원) - _지마 (X1-MA) (X1 Ver.)│X1 PREMIER SHOW-CON 190827

*本文中メンバーのセリフは番組中の字幕より。 

■ヤマダ
K-POP、K-HIPHOPを中心に音楽オタクをやっている会社員
Twitter:@oyzi

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