鈴木愛理、Da-iCE、有安杏果……ヒゲダン 藤原聡のソングライターとしての手腕を提供曲から考える

 有安杏果も、実は2017年に1stアルバム『ココロノオト』より「TRAVEL FANTASISTA」という曲で楽曲提供を受けている。この曲は藤原にとって初めての楽曲提供で、まだヒゲダン自体も爆発的なヒットを生む以前であるが、すでに才能を感じさせる。幸福感溢れる同曲は〈計画的だけど破天荒〉という歌詞が象徴するような無邪気さが可愛らしく、特にBメロのワクワク感はヒゲダンの曲と同様にサビへの助走として完成度が非常に高い。YouTubeで公開されているライブ映像では、有安が楽しそうに歌う姿が印象的だ。ももいろクローバーZとして活動していた当時から、表現力や歌のスキルでリスナーも魅了していたこともあり、伸び伸びとした歌唱を披露している。

有安杏果「TRAVEL FANTASISTA」サクライブ 2019

 まさに「ハズレなし」と言いたくなる藤原の提供楽曲の数々であるが、アーティスト自身も迫力のある声量や抜群の表現力を持つ実力派ということもあり、期待以上の化学反応を見せてきた。Aメロ、Bメロの色がはっきりしていてメロディアスな曲だからこそ、1つ1つの曲がとてもボリュームがあり充実しているという印象を受ける。韻を踏むことによる全体的な語感の良さや洒落た言い回しも、他のアーティストが持ち歌として歌うことで新鮮さが生まれている。ヒゲダンの特徴でもあるロングトーンでの歌唱やメロディアスなイントロは提供楽曲にも共通してあり、ヒゲダンのリスナーも楽しく聴けるはずだ。藤原聡の“もう一つの才能”に私たちはこれからも魅了され続けるだろう。

■momotoxic
ブロガー。自称"楽曲派"。Twitter:@momotoxic1006

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