鈴木愛理、Da-iCE、有安杏果……ヒゲダン 藤原聡のソングライターとしての手腕を提供曲から考える

 今年『NHK紅白歌合戦』初出場が決まり、「ビルボードジャパン年間ランキング2019 Hot100」 で「Pretender」が3位に入るなど、この1年で人気が急上昇しているOfficial髭男dism。人気の理由の一つは、同バンドの作詞作曲を手がける藤原聡(Vo/Key)のソングライティング力の高さだ。アーティストへの提供曲にも藤原の個性が強く反映され、コラボレーションが生まれている。

鈴木愛理『i』(通常盤)

 12月18日に発売された鈴木愛理の2ndアルバム『i』には、藤原の提供曲「Break it down」が収録されている。同曲は片思いしている女性の恋心を歌った1曲で、リリース前にライブでもすでに歌われていたが、アルバムの発売に先駆けてMusic VideoとDance Shot Ver.がYouTubeで公開されると一気に話題になった。ヒゲダンらしさを感じさせる楽曲全体の甘い雰囲気やグルーヴ感と、雑誌『Ray』の専属モデルとしても活躍するほどの美貌を持つ鈴木との組み合わせはファッショナブルだ。藤原のワードセンスは℃-ute時代にはなかったリアルな乙女感を演出し、鈴木がソロアーティストとしてさらに勢いをつけることに貢献している。Music Videoでも印象深いのはスクエアの画面とレトロな演出の他、チェック柄やネオンといった視覚に訴える“オシャレ感”であり、90年代のJ-POPのMVを彷彿とさせる。この楽曲で新規ファン獲得の見込みもありそうだ。

鈴木愛理『Break it down』(Music Video)

 藤原はダンス&ボーカルグループ・Da-iCEにも「FAKE ME FAKE ME OUT」という楽曲を提供している(2019年4月リリース)。Da-iCEは、ハイトーンボイスが特徴的な実力派グループだ。同曲でボーカルの花村想太、大野雄大の2人が歌うのは女性に振り回される男性の本音であり、まさに大人の恋愛ならではの世界観だ。曲のクールな雰囲気や、ストレートな歌詞などドキッとさせられるポイントも盛りだくさん。藤原はそのようなテーマでもサビのメロディが耳に残りやすいキャッチーな曲に仕上げており、アダルティすぎず爽やかさを並存させることで唯一無二の魅力を生んだ。高級感を漂わせるR&Bである同曲とs**t kingzが手がけたスタンドマイクを一部用いた振り付けがインパクトを与え、Da-iCEのダンスも歌もビジュアルも高レベルという個性を引き出してまた、最高のパフォーマンスとなっている。

Da-iCE – 「FAKE ME FAKE ME OUT」Music Video

 2組の提供曲に共通するのはどこかノスタルジックな印象の楽曲になっていることだ。それはヒゲダン自身の曲にもある特徴的なキーボード音やファンクサウンドが、提供されるアーティストにとっては珍しいからだろう。ヒゲダンの楽曲は“王道のJ-POP”と言える構造であるものの、独特のグルーヴ感が特徴的である。その“ヒゲダンサウンド”が他のアーティストへ提供されると、新しい音楽性になるように感じた。

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