『太鼓の達人』特別対談

ドリカム 中村正人×よみぃ『太鼓の達人』特別対談 超難関曲「あなたとトゥラッタッタ♪」の秘密に迫る

「ソニック」の音楽のコンセプトは“映画のサントラ”

ーー中村さんが「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」(1991年に発売されたアクションゲーム)の音楽を担当したときは、どんな状況だったんですか?

中村:ハードもソフトも全然だったからね。いまは考えられないけど、最大同時発音数が5音、6音くらいだったんですよ。コードで3つ使ったら、残りの音でドラム、ベース、メロディを入れなくちゃいけない。さらに音を足そうとすれば、微妙に調整して、隙間を作る必要があったんです。

よみぃ:たとえば「ここで一発シンバルを入れよう」というときは、他に鳴っている音を減らして、スペースを空ける必要があった?

中村:そう。しかもサンプルの音なんて存在しないから、ハイハットもシンバルも、すべての音のデータを0から作ったんです。当時は「スーパーマリオ」が先行していて、「ソニック」の制作陣はそれに対抗して作られたチームだったんだけど、大変でしたね。限られたスペックだからこそ、おもしろかった部分もあったと思うけどね。

ーー「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の音楽はフライング・ロータスやサンダー・キャットなどがリスペクトを表明するなど、海外でも高く評価されています。

中村:ようやく映画(2020年公開予定の映画『ソニック・ザ・ムービー』)にもなるしね。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の音楽のコンセプトは“映画のサントラ”だったんですよ。グラフィックを見たときに、「これは映画だな」と思って、短編映画の音楽を作るような感覚で制作していたので。でも、いまはゲーム音楽も他の音楽も一緒じゃない?

よみぃ:「太鼓の達人」のオリジナル曲を(ゲームを)知らない人が聴いて、「いい曲だ」と思う、みたいなことですよね。個人的な目線でも、確かにそういう感覚になってる気がしますね。

中村:アクションゲームとRPGの違いみたいなものはあるけど、ゲーム音楽も“音楽ありき”になってるんじゃないかな。よみぃは作曲家であり、ゲームのプレイヤー、YouTuberとしても活躍しているけど、これからよみぃの表現はどこに向かうの?

よみぃ:どこだろう……。いままでのことを考えてみると、高校生のときにゲームセンターに通いはじめて、その頃に作った曲が「太鼓の達人」に収録されて。「太鼓の達人」のファンでもあったから、ふたつの喜びが融合して、とんでもなく嬉しかったんですよ。そういう幸せな出来事があって、次に僕が何をやったかというと、自分の曲でフルコンボを目指すことだったんです。「太鼓の達人」に入ってるのは「D’s Adventure Note」「おにぎりはどこかしら」の2曲なんですが、ユーザー精神に則って全力を注いで、どちらも“全良”できるようになって。これからも音ゲーはどんどん難しくなると思うし、プレイヤーたちに“最難関”と言われる曲を作って、それに自分も挑戦すること続けたいですね。

中村:どこまでも“自分”でいけるんだね。たとえばモーツァルトも、あんなに難しい曲を作って、しかも自分で弾いてたでしょ。いまモーツァルトの曲を弾く人たちは作曲の部分はないけど、彼は自分で書いて、弾いてた。よみぃがやってることは、それと似てるよね。我々の場合も、プログラミングで曲を作って、それを実際に叩いたり、弾いたり、歌っているから、同じかもしれない。

よみぃ:なるほど。

SNS時代における音楽制作のスタンス

中村:ベースにしても、制作のときは打ち込みで作って、それを自分でコピーするとこから始まるからね。自分たちでアレンジした曲を生のバンドで再現することに命をかけて、“全良”するところをお客さんに見せるのがライヴだから。でも、音楽業界は変わりましたね。いくら曲を作っても、YouTubeやSNSで発信できないとどうしようもないでしょ。自分でアップロードすることを含めて、発信しないと何も始まらないから。その結果を数字で見て、「もっと聴いてもらうには」と工夫して。いまの表現者には、それが基準になってますよね。先はどうなるかわからないし、SNSの時代は明日終わるかもしれないけど、違う情報の伝達方法が出てくるまで、この時代が続くわけだから。

よみぃ:とんでもないSNS時代ですよね。そんな時代に生まれた僕がちょっと感じているのは、SNSのリテラシー、空気感みたいなものと、音楽界の芸術性が噛み合うのは難しいなと。パソコンがなかった時代は、楽器の音を聴いて、その特性を理解しながら五線譜に書いていた。そこに個性が表れていたと思うんですが、SNSを介した発表の場は、まったく違った仕組みなので。そこで頭が混乱してしまうことがよくあります。

中村:そうだよね。曲を流したときに、ユーザーに判断してもらえるのは最初の5秒。そこで興味を持ってもらえれば、10秒、15秒、上手くいくと3分聴いてもらえる。芸術家にもいろいろあるけど、もし音楽で食っていこうと思ったら、最初の5秒にぶち込まなくちゃいけない。それはドリカムもやっていることだし、こうやって「太鼓の達人」に取り上げてもらえるのもすごく嬉しいんですよ。ドリカムを知っていようがいまいが、みんながワーワー言いながら楽しんでくれている。それが僕らの一番の目的ですからね。

ーーしかも「あなたとトゥラッタッタ♪」(裏)は、平成最後の超難関曲としてプレイヤーのみなさんが高く評価していて。

中村:ありがたいよね。あの曲はマーチにしたかったんだけど、(NHK連続テレビ小説『まんぷく』の主題歌としてオンエアされた際)「朝からマーチなんて聴きたくない」「元気よすぎてウザい」という意見もあったんです。でも、ドンだーたちの評判はすごくいいし、YouTubeのコメントも8割方がドンだ―の書き込みなんです。ウチの吉田(美和)が踊っているのを見て、「この赤い服の人、踊り上手い」という書き込みもあったり(笑)。

よみぃ:曲名もいいですよね。「あなたとトゥラッタッタ♪」って最後に音符マークが付いていて、そこから譜面に入っていくのもスパイスになってるので。あの曲のタイトルが「平成最後の悪魔の譜面」だったら、ここまで人気になってなかったかなと……。

中村:(笑)。吉田はタイトルにもすごくこだわってますからね。最後の“♪”もそうだし、“トゥラッタッタ”という言葉を創造したのもそうだし。「サンキュ.」の最後に“ドット”を入れたのもそうだけど、それを含めてアートだから。僕の目的は吉田の歌の世界をみなさんに伝えることだし、ドンだーのみなさんに伝わっているとしたら、こんなに嬉しいことはなくて。よみぃとこうやって対談できることも本当に嬉しいし、幸せですね。

よみぃ:こちらこそありがとうございます。ぜひ、マサさんにもフルコンボを目指していただいて。

中村:まずはコレ(「太鼓の達人」本体)を買いますよ。虎の穴を作って自主練します(笑)。

(取材・文=森朋之)

『あなたとトゥラッタッタ♪/ THE WAY I DREAM』

■リリース情報
『あなたとトゥラッタッタ♪/ THE WAY I DREAM』
発売中
CD:¥1,300(税込)

<収録曲>
1.あなたとトゥラッタッタ♪
2.THE WAY I DREAM
3.晴れたらいいね ~VERSION’18~
4.あなたとトゥラッタッタ♪ -INSTRUMENTAL-
5. THE WAY I DREAM -INSTRUMENTAL-
6. 晴れたらいいね ~VERSION’18~ -INSTRUMENTAL-
7. あなたとトゥラッタッタ♪ ~BRASS BAND VERSION~

DREAMS COME TRUE 公式サイト
よみぃ オフィシャルYouTubeチャンネル
太鼓の達人シリーズ公式サイト

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